第6話 夜の海

ゴーストシップという映画をご存知だろうか


2002年公開だから結構前になるが、なかなか俺好みのホラー映画だ


その映画のように


真夜中に一人、はるか沖で釣りをしていると


"幽霊船とばったり遭遇しないだろうか・・・"


なんて想像して、ゾッとすることがある


しかし何よりも海を怖いと思う一番の理由は「深海巨大症」だ


深海に行けば行くほど、海洋生物が巨大化するという説


そもそも地表の71%を占める海の、まだ10%しか正確な地図がなく


殆ど解明されていない領域なのだから、どんな不思議があってもおかしくない


夜の闇に包まれた漆黒の海というやつは


正体不明の中国船に出くわすより不気味だ


勝手に我が船に迷い込んでしまった猫ちゃんが、顔は見えないが「ニャゥ」と鳴いてくれただけでも


"ああ、1人じゃないんだ"と安堵する


しかしこれまでに数度


何かとてつもなく大きなものが、船底を潜ったような気がした経験がある


いや、気がしたのではなく「見えた」んだけど。


何かが移動して、刺激された夜光虫がワワーッと光ったのだ


ノクチルカ・シンチランスというプランクトンの光は幻想的で


集団で発光する様は何というか、「死」をも連想してしまう


停泊中の船の10m先の海面下に光の輪が見えたかと思うと


こちらも50フィートあるが、明らかにそれを上回る大きさの何かが、ゆらゆら近づいてくる


クジラ?・・・いや、クジラでこんな光り方はしない


もっと円形の「なにか」が、静かに船底を潜っていくのだ


船を楽勝で上回るサイズの光の輪・・・


直径20メートルというところか


そんな物体がゆっくり船底を通り過ぎる瞬間・・・


この生きた心地のしない瞬間・・・


わかります?(;´д`)


これを、サイズの大小はあれど5回ほど経験したのです


巨大マンタ?

巨大ウミガメ?


いずれにしても夜の海ほどおもしろい(interestingのほう)ところはない


思考の透きとおる場所であり、なす術ないと諦める場所でもあるのだ


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