第3話 呪術1

酒屋などの掘りごたつ席は


早出のバイト君に任せたりしていると、テキトーに掃除したことにして下を確認していないことがあるので


よく割り箸やお手拭きなどが落ちたままになっていたりする


ある時、居酒屋の個室で足でグンニャリとしたものを踏んでしまい


「うわっ?!」


足を引き抜くと、赤白ストライプの靴下に茶色いものがベットリ


うわうわ!


ネズミかなにかの糞、踏んだ?!


掘りごたつに頭を突っ込んでみると、食べかけのつくねハンバーグ?みたいなものを踏んでいた


普段温厚なつもりだが、この時だけは激怒した


俺は私服なのに「これすみません、お履きになってください」と


ビジネス靴下・黒を差し出してきたから更に火が付いたのを覚えている


しかし先だって、神戸の小料理屋の女将が聞かせてくれた話は毛色が違った


「あんな、◯◯通りのガールズバーの斜向かいの焼き鳥屋さん、知っとう?」


「おー◯◯やろ、知っとるよ」


「あの店な、6月に閉めてん」


「えっなんで?コロナ??人気やったやん」


「大将が体調不良で店続けられんようなってしもてん」


「え〜、えらい急やな!体調不良って何なん?」


「それがな、精神的なもんらしいねん。ていうかその原因かも知れん騒ぎがあった日にな、ウチのNちゃん(クラブ勤めの娘さん)がお邪魔しとうねん」


「え、なんか怖いなぁ・・・」


「せやねん。あんな、12月の3週目にな、Nちゃんが同伴のお客さんと鶏鍋食べに◯◯行っててん。その時にな、掘りごたつの個室通してもろたらしいねんけどな、食べてる途中で、横に置いてたNちゃんのスマホに手が当たってな、スマホがこたつの下に落ちてしもたらしいねん」


「ほう・・・」


「ほんならな、スマホはすぐ見つかってんけどな、こたつの床に、なんか白い紙みたいなんがいっぱい落ちとうらしいねん。でな、Nちゃん割り箸の袋がいっぱい散らばっとんのか思うてな、店の子に文句言うたらしいねん」


「掃除しとらんかったんか?」


「でな、『御免なさいお食事中に』言うて店の女の子が掘りごたつに頭突っ込んで、それ拾うたんよ。そしたら、折り紙の『やっこさん』みたいな白い紙が、10枚くらい出てきたんよ」


「何やそれ・・・」


「でもな、それ折り紙やなくて、白い紙重ねて切り抜いたみたいな、人の形しとうねんて」


「こわ・・・」


「でな、もう1部屋あった個室からトイレに行ってた別のお客さんがな、釣られて自分らの部屋の掘りごたつの下も覗いてみたんやて。」


「まさか・・・」


「せやねん。あってん。そのこたつにも。10枚くらい、人の形した紙が。でな、カウンターの客がそれ見てな、『式神やん、それ』って言うたんやて」


「式神いうたら・・・アレか?陰陽師の、人呪うときの・・・」


「そうそう。でな、他にも無いか調べてみたらな、トイレとか奥の厨房にもあった~いう噂やねん」


「誰がそんなこと?いたずら?」


「なんも取られてへんし、バイトの子も中と外の2人しか居れへんし。その子ら、そんなことする子らとちゃう言うて、警察とかは呼ばんと済ませたらしいねんけどな。けどそれから大将、見る見るうちに元気なくなってしもてな・・・」


「・・・閉めたんか」


マジの呪い??


こわいこわい(-_-;)


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