第11話 始まりの夜
時刻は午後7時、辺りはすっかり暗くなった、予定通りホームセンターに向かう最中。
出発前〜〜〜
「ほらこれ持って行きな」
「おっも! こんなの無理だって、持ってても使えないって」
「まぁそうだよな、ならこっちの拳銃使いなよ、1発だけ入っとるけ自分の判断で使いな、使う時はここをこうやって引くだけの奴だから」
「俺も拳銃と、一応その小銃も持っていく」
と言った出来事があった、拳銃を渡されたがそれを使う時は死ぬと思った時だけ、無闇に使うとかえって状況が不味くなるだけと念押しされたがはなっから使うつもりなんてない。
「そう言えばそれ何持って来たの?」
「これか? 普通のパソコン、もしもの時のための保険だよ」
道中で化物に見つかっては逃げて見つかっては逃げてを繰り返し、倍の40分ほどかかったが目的のホームセンターまでやってこれた、遠くからでも何体か人影が確認できた、さらに近づき確認すると予想よりもはるかに多くの化物がここに集まっていた、しかし
何も問題なく入り口までやってこれた、しかしここで問題が1つ、入り口が開かない、自動ドアなので電気が通ってないと動かないのは当然だが
やって来たのは入り口から見て西側にある園芸コーナーに物を搬送するためのフォークリフトが置いてある倉庫、大きなシャッターの横にある扉は電子式であるためハッキングすれば無理矢理開けられるかもしれない。
「ねぇ、電気が通ってないなら結局無意味じゃないの?」
「ここのホームセンターは何かしらの非常事態で停電した時に最低限のシステムを動かすための非常電源が動いてんのよ、電源を切ったとしても裏で電気が流れてるならワンチャン…」
ものの数秒で扉が開いた。
「えぇ…嘘でしょ…なにあんたキモ」
早速中に入ろうとしたが、トイレでも我慢しているかの様な格好で
「なにやってんの? 早く行きましょう」
「ん? あぁ悪い悪い、行こう」
中に入るとそこは監視室の様な見た目の部屋だった、
「あんたってなんでそんなに詳しいの」
「元々ここでバイトしてたんだよ、1年の頃から2年の半ばぐらいまでかな、時給めっちゃいいぞここ」
意外だった、彼がバイトをしているなんて思ってなかった、成金のボンボンだと思っていた、頭もよく運動も出来て実家が金持ちで楽しい人生を送るハイスペックな人間だと聞いていたが、
「よし準備出来た、目的の物だけ手に入れて早く帰ろう、長居は体に毒やから」
カバンから懐中電灯を取り出しフロアに繋がる扉を開けた、開けた瞬間強烈な匂いが2人を襲う、入り口が閉じられていた様に他の扉もおそらく完全に閉じているのだろう、換気などされる事はなく中で匂いが酷く充満している。
「尚更早くでらないけんね」
「ハンカチかなんか持ってない?」
「あるよ…はい」
「ありがと」
「ついて来て、売り場は分かってるから」
真っ暗な店内を懐中電灯で照らし進む、威勢よく付いてくると公言した
「よし、そろそろだな」
「如月…私もなにか出来ないかな? 付いて来て全部あんたに任せて結局おんぶに抱っこされてるだけなんてダサすぎる」
「居てくれるだけで俺は心強いけど…どうしてもって言うならライトが欲しい、この懐中電灯みたいなのじゃなくてもっと小さくて取り回しがいいやつ、よくドラマで警察が使ったり海外の特殊部隊が使ってる感じのやつ、なんなら棚はこの辺のはずだから作業を分担しよう、俺はルーターを探す、永江ちゃんはそっちを頼む」
「分かった、任せて」
2人はここで一旦別れた、
「ルーターは…ここか、どれがいいんだ? ウミハかバッフロー辺りかなぁ」
一つずつ確認していくのは面倒なのでとりあえず他のルーターと比べて値段が段違いに上がっている物を幾つか取り出し一度床に並べた。
「これと、これは対応してそうだな、ルーターの良し悪しなんて俺には分からんしどっちも持って帰るか」
あえて一つを選ぶ事もないだろう、
…………ッ
「誰だ!?」
「いいねいいねぇ〜いい
「あいにく俺は見ず知らずの奴にこんな物騒な物をすんなり渡すほどお人よしじゃないんでね」
1人の生存者が現れた、
「ここはアンタの縄張りか? それなら悪かった、別に争いに来た訳じゃない、邪魔なら今すぐ帰る」
「だってよ! どうする?」
「人の住処に侵入してタダで出て行こうなんて上手い話はないよなぁ?」
もう1人の仲間が現れた、180cmほどで体格もいい大男が現れ前後を挟まれる形となる、別に今ここで射殺してしまっても構わない、しかしそれは不可能、ゲラゲラと笑いながら近づく男に
「別に帰りたければ帰ってもいいぜ! ただしそのゴツイ銃とこの女を置いていけ、それで交換してやるよ!」
「そうゆうことだからよろしくな、ゲヘヘヘ」
「おっと! 動くな! お前がその気ならコイツとお前を今ここで殺してもいいんだぜ!」
大男は銃口を
「どうせなら外の奴らの餌になってもらうのもアリじゃないか? ゲヘヘヘ」
「ほんととんでもねぇクソどもだな、協力し合えばお前達にとってメリットになると思うけど? そんなに死にたいか?」
「あん? お前自分の立場分かってんのかぁ? 変な気を起こす前にその手に持った拳銃はその場に置くんだ、そして早くそのメチャクチャイカしてる小銃を寄越しな!」
「お、意外と話の分かる奴なんだな、よし、次は俺にその銃を渡せ! ゲヘヘヘ」
言われた通り小銃を渡そうと小柄で気持ち悪い笑い方の男に近寄り手渡し、男は舐め回す様に小銃を見つめた、
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