第8話 我が儘な悪役令嬢
あれから1週間が経った、大学の外は予想以上に地獄で至る所で銃声や悲鳴が聞こえてきた、正常な判断が出来ない人達が多く、相手が化物であろうが人であろうが関係なく銃を乱射している人もいた、むしろ化物よりもそちらの方が怖かったぐらいに。
ぐぅぅぅ……
「お腹すいたなぁ」
この1週間の
「はぁ………」
このままでは不味いのは分かっている、考えがない訳ではない、近くにあるドラッグストアに行けばそのまま食べれる食料は沢山あり水も大量にあるだろう、問題はいつ行くか、当然化物はその辺りを彷徨いている、時間が経てば人が多い場所を求めて移動していなくなるかもしれない、しかしその前に食料を他の奴に持って行かれたら元も子もない、正直1人なら奴らを掻い潜るのはそこまで難しい話じゃない。
色々考えた
予想していた通り外にはそれなりの数の化物がいた、遠くにいる奴らはこちらに気付いても追ってこない、おそらく動いている物に反応しているだけで人かどうかの判断は出来ていない、近くの奴らも無視して走り去れば問題なく振り切れる、特に問題が起こる事はなく目的のドラッグストアまで難なく来れた、すると人の声が聞こえて来たため近くにある大破した車に身を隠し様子を伺った。
「急げ! 止まったやつからやられるぞ!」
「余裕余裕! こんな奴らどうって事ねぇよ! ハハハ!」
入り口の方から複数の人達が高らかに勝利宣言をしながら走り去っていった、その声に反応して近くの化物達はその集団にノロノロとついて行った、それは
「バカそうだなアイツら、絶対死んだわ」
予想通りあの連中が引き付けてくれたおかげで店内には化物がいなかった、あくまで入り口から見える範囲の話なので油断はせず中に入った。
ざっと見て歩いたが動いている化物はいない、倒れている死体はこれから動くのかどうか分からないので気は抜けない、周りに注意しつつ当初の予定通りカロリーバーや菓子パン、ゼリーやパックのご飯、そして水を大量にバッグのに詰めた、なんとも言えない罪悪感に包まれるがこの状況なら仕方ない、素早く商品を詰め込み帰ろうとした時ふと思った、怪我をした時の事を考えて包帯など手当て出来る物があった方がいいのでは? そう考えて最後に応急用具の棚に向かった。
「あ、懐中電灯あんじゃん、うーん…かさばるなぁ…出来ればもっと小型でハンディタイプみたいなのがあればいいけ……」
「うぅぅあああ…」
入り口の方から化物の声が聞こえてきた、外にいた奴らが何体か入って来たのだろう、とりあえず手にした懐中電灯をバッグに無理矢理押し込み応急道具の棚に向かった。
〜〜〜〜〜〜
「ゴホ! ガハッ!」
「大丈夫? 落ち着いて」
吐血し体を震わせるこの女性は
「美智子、寒いの? 私の上着使う?」
「ううん、大丈夫だよ、聖良ちゃんは気にしなくていいよ」
「……そうだ! お腹すいてない? 冷蔵庫あるし何かあるかも」
「あぁくそ、そう都合よく行かないわね、あぁどうしよう、落ち着け私…絶対助け出すのよ」
「はぁ……はぁ…」
(私のために…あんなに必死に……私がもう死んでたら……死んでたら…)
椅子に座り頭を抱える
「え? ごめん聞こえなかった、どうかしたの?」
「水…飲みたいなって思って、フロアの方に行けばいっぱいあるから……私のわがまま、聞いてくれる?」
「当然よ! 大丈夫、私に任せて! すぐに取ってくる!」
「これでいい…これで……」
急ぎつつもなるべく音を立てないように進む、化物に注意するのは勿論だが、ここに逃げ込む際に後ろから集団の声が聞こえてきた事が気になる、その集団もここに食料や水の調達に来たのだろう、遭遇して取り合いなんかになったら面倒臭い、こんな状況になってもなお1番恐ろしいのは人間関係の拗れ、身を持って体感したからこそ
ゆっくりと扉を開きフロアを除いた、とても静か、警戒は怠らずに飲料コーナへ向かい500mlの水を手にしてついでに何か食べれる物がないか探した、適当にカロリーバーを上着のポケットに入れた、
「よし、とりあえずこのぐらいでいいわ、そう言えばここのドラッグストアってサポーター売ってたはず、それを使えば今より楽に歩けるはず、棚はあっちの方に…!」
サポーターを求めて応急用具コーナーへ向かおうとした時、ちょうどその辺りを彷徨く人影が見えた、生存者か化物か分からないがどちらにせよ運悪く目的の棚の辺りにいる、居なくなるまで待つ事も考えたが、入り口の方から化物の声がした為時間が経てばこちらの方にやって来るかもしれない、そして何より
息を殺し一歩ずつ周りを確認しながら少しずつ近づいて行く、何も異常のないまま目的の場所までやって来た、鼓動が早く緊張感が高まる、恐る恐る確認したがそこには誰もいなかった、あるのは大きなバッグだけ。
「あぁもう! 誰もいない、むしろいてくれた方が…まぁいいわ、目的の物だけ手に入れればいいし、まだどこかにいるだろうから注意しないと」
…………
…………
…………
「お、やっぱり生存者やん」
突然後ろから声をかけられた
「ちょっとあんた! 普通に声かけなさいよ!」
「え、ごめん、俺だって警戒してたんだからさ、なんか付いて来てたし、それより大丈夫? 床に顔を…」
「イテテテェェェ、大した事じゃないわよ、ん? うげ! あんたもしかして如月?」
「え、誰? なんで知ってんの? うーん? 見た事ある気がするなぁ、同じ大学?」
「ええそうよ、そんな事どうでもいいの、私は忙しいの、さよなら」
棚からサポーターと包帯を取り歩き出した。
「そんなんもってどこ行くん」
「あんたには関係ない、てかその馬鹿でかいバッグあなたのだったのね、どうでもいいけど。次に会う事はないと思うからせいぜい頑張って生き残りなさい」
「んだよアイツ」
何故か高圧的な態度を取る
「急がないと……ん? 美智子!?」
そんな
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