第3話 黒い金剛石
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
時刻は朝6時、目覚まし時計の音で目が覚めた、いつもなら二度寝をする所だが今日はやけに目覚めがいい、どうせ大学に行かないといけないため、軽くシャワーを浴びて菓子パンをひとつ食べて大学に向かった。
「あ〜永遠じゃ〜ん、早いね、あれ、二日酔いぃ? そんなんじゃ事故っちゃうよ〜」
大学に向かう途中、いつもの様に
「別に二日酔いやないけど…ちょっと考えごと…
「パトカー通りまーす……ご協力ありがとうございます」
「朝から物騒だねぇ、昨日の夜なんてすっごいうるさかったし」
「若菜のところもか?」
「うん、あんな法律作っちゃったからみんな外れちゃったんだろうねえ」
結局大学に着くまでサイレンの音は聞こえていた、たった1日で物騒な世の中になったものだ。
「おっはよ〜2人とも」
「希ちゃんおはよ〜ともりんは一緒じゃないんだね」
「トイレに行ってる、すぐ戻って来るよ、噂をすればいるじゃん」
「ほんとだ! ともりんおはよ〜」
「あ、ああ、おはよう」
「どうしたの〜まさかともりんも二日酔い?」
「違う違う、寝不足なだけだよ…ははは」
「今日はずっとあんな感じなのよねなんかソワソワしてるし、あんたは何か知ってる?」
「どうせいつもみたいに時間が解決するよ」
(何こいつら、もしかして喧嘩してる? まぁいいか、特段避けてるって訳でもなさそうだし)
なんとも言えない空気感が漂っている、朝から元気な
「早いなお前達、待ったか?」
そこにやってきたのは
「智理、せめて俺がおらん所ではその顔するのやめろよ」
「そんなにひどい表情してたか? ありがとう、分かってる」
「ちょっと〜早く行くよ」
「すぐ行く! じゃあな永遠、また会おう」
「ねぇ、あれやばくない? 救急車? 警察もかな?」
「マジであの法律のせいじゃねぇか、こりゃあまた叩かれるぞ
周りの人達がザワザワし始めた、みんなの視線の先には何かが起こっているらしい、人をかき分けて
「あんた何やってんの! 早く運ぶから手伝って!」
「はぁ!? だってありえねぇよ、ありえねぇ、人として、生物としてありえねぇ」
「何訳わかんない事言ってんのよ、早く!」
「希! どうしたん…智理?」
「あぁもう! 永遠、こいつ任せた、行って来る」
そう言い残し、2人の元を離れで
「智理! 智理!」
「呪いだ だって 俺が 止まってたのに」
「ぐはぁ! え、なんだ! めっちゃイテェ」
「智理! 俺を見ろ」
「永遠…ごめん、取り乱してた、もう大丈夫」
大丈夫とは言うがまだ少し動揺している、頭の整理でいっぱいいっぱいなのだろう、
「大丈夫? 話が聞きたい、場所変えた方がいい?」
「いや、ここでいい、周りもみんなあの慌て様だ……永遠昨夜のお前の考えた通りだよ、暴発した
「お前なんいっとーと 確かに怪我はしとった、でも撃たれて動ける、ましてや昨日の夜から何時間も経っとるのに」
「それだけじゃねぇ、傷口は見えなかったけどさ、あいつが歩いた跡見てみ、1つも血痕がない、ありえねぇ、撃った後に確認した、心臓をぶち抜いて辺りは血まみれだった、そんな傷口が塞がるのも歩けてるのもおかしいんだよ!」
「落ち着け、声を抑えろ、とりあえず俺達も行ってみよう」
「分かった」
2人もあの男が運ばれたであろう診療所へと向かおうとした、校内が軽いパニック状態のため人の合間を縫ってやっと校舎の入り口まで辿り着けた、校舎に入ろうとすると中から呻き声が、そして誰かが歩いて来る音が聞こえた。中から出てきたのは大学の生徒だった。
「ん? 拓人か? どうした拓人!」
苦しんでいる学生は
「拓人!? 何があったんだよ誰がこんな…
「うぅゔ あぁゔぁ…
次の瞬間、
大勢の学生の目の前で起きた悲惨な出来事、悲鳴を上げる者、目を背けて現実逃避する者、周囲の学生を殴り飛ばし我先に大学から離れようとする者、秩序も何もない混沌が産まれた。
大勢の学生が一ヶ所の出入り口に集まり、大きな騒ぎを起こした事により、その
「マズいな、智理! 一旦状況を整理しよう、きっと若菜達も同じ様に
「今行くぞ! 若菜! 希!」
「おい! 冷静になれ!」
「うゔぁうあ!」
「クッソ 時間使いすぎた」
先程まで肉を貪り尽くす事に夢中だった化物は目の前の死肉よりも新鮮な
「如月君!」
「瑞希!?」
「私の彼氏見なかった?
「バカか前が見えねぇのか! こんな時に自分を1番大切にできん奴は死ぬぞ……拓人?」
彼女の彼氏の名前は
「え? 拓人君? 慎吾? なんで? 嘘だよそんなの、ちょっと具合悪いだけだよね? 如月君! 診療所に運ぶから手伝って!」
ヒステリックな声を上げて倒れた真矢を運ぶために近づこうとした
「イッタイ…慎吾? 慎吾! 起きて! 慎吾」
「バカ! 近づくな!」
「ゆ、あうぅゔああ!!!」
「あっぶな、あの傷でも動けるのかしぶとい奴らだな」
「ちょっと! 何してんのよ! 早く離して! 慎吾が死んじゃう!」
「もう死んどる、あいつはお前の彼氏じゃない、人を餌としか見ない、肉を貪り尽くす化物だ」
「ふざけんな! 動いてるのに死んでるわけないじゃない! 大体あんたがすぐ助けてたらあんな重傷負ってなかった! そこまでして私達を別れさせたいの?」
「は? バカ言ってねぇで行くぞ」
バチン! 大きく周りに響き渡る音を立てた。
「あんたなんか地獄に堕ちればいいわ…この…人殺し!」
その言葉を聞いて
「……結局兄貴が言った通りかよ」
脳内に響き渡る断末魔の叫びを聞きながら
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