会場散策 (22:鳥羽フシミさん)

ここはクリエイティブな物書きと、それをこよなく愛する読者さんが住んでいる国『カクヨーム王国』である。


さてさて、本日は他の書き物をしてから最後にやってきたご様子。早速、和響わおんとやらを覗き見してみよう。


「今日は子供達が塾のテストで朝から行ったり来たり。その後、最近書き始めたミステリーに自分ではまっちゃって、書いてたら最後になっちゃった!さてさて、では早速! 自主企画【戦争のない平和な世界になりますようにと、優しい「祈り」を込めて書いた作品募集します!https://kakuyomu.jp/user_events/16816927861270086890】へレッツラゴー!」


どうやら数日前から思いつきで書き始めたミステリーが思いもよらぬ方向に行くので、楽しいらしい。思いもよらぬ方向へ行くと言うのは、ありなのだろうか? 書く前に計画しなくていいのだろうか。でも今日はそこはさておき、あっという間にイベント会場へとついた。


「すげーまた増えてる! もう本当毎日胸がいたいニュースが多いですよね! 私もです!」


などと、独り言を言いながら、次の人の本屋さんを探すが、見当たらないようだ。


「あ、また私が遅かったからかな……。申し訳ないです。でも、そのページ自体がない……?」


もしかしたら公募に出したのかもしれないと思いながら、次の本屋さんを探し始めるようだ。


――えっと、では次は、エントリーナンバー22番の鳥羽フシミさんだよね!あ、あったあった!では行って見ることにしますか!


「鳥羽フシミさんの本屋さんへレッツラゴー! https://kakuyomu.jp/users/Kin90


大変便利な妄想世界、クリックひとつで、あっという間に鳥羽さんの本屋さんの目の前についた。ここはどうやら、SFシティのようだが、もしかしたら鳥羽さんの本屋さんの分店なのかもしれない。なぜなら鳥羽さんの本屋さんには、『現代ファンタジーにも本屋持ってます』と書かれているからだ。


――なんだろう、この不思議な感じ。え? ちょま、鳥羽さんの本屋さんの入り口になんかでっかい画面が置いてある!?


「いらっしゃいませ、私の名前はチトセ。お入りになりますか?」


――なんか画面に女の人が映って喋ったー!


「いかがないさいますか?」


「あ、じゃぁ、お願いします」


「ではどうぞ、お入りください。入ったらすぐに妄想アトラクションが始まります」


「あ、どうも。それって、鳥羽さんの【コンセント防衛線 作者:鳥羽フシミ https://kakuyomu.jp/works/1177354055076589462 】ですか?」


「はい。そうです。いかがされますか?」


「あ、ぜひ、それを体験しにきたので」


「では、どうぞ中へ」


そう、画面の中のAIらしき女性が言うと、湖の辺りにある鳥羽さんの近未来的な本屋さんの扉が自動で開いた。そして、その中に和響は入っていき、


「めちゃくちゃ面白い! え? ちょ、待って、これどう言う展開?! あ! 応援している人が薄井蘭ちゃんじゃん! 薄井蘭ちゃんhttps://kakuyomu.jp/users/Ran-U大好きなの! これは間違いなくね? え! 続きがきになるし!」


と、独り言を連発して、本屋さんから出てきた。


――めっちゃ面白かった! 1話が短いから、スラスラ読めて、文章力もさすがだし、何より、物語の構成が面白い! だって、最初現代的な線からいくのかと思ったら、いきなり宇宙船って、その流れも華麗な感じだし。これは続きが気になる!


何やらお手紙を書き書きしているようだ。そして、お手紙を書いて、鳥羽さんの本屋さんの前にある、大きな画面に映るチトセと名乗るAIにそれを渡した。不思議なことに、その画面の中にいるAIチトセとやらの手が画面の外に伸びてきて、その手紙を受け取る。まさになんでもアリーナなカクヨーム王国、妄想世界である。


――これは続きが気になる! あ、フォロってなかった! ポチッとな!これで続きも楽しめるね! それにしても、最初の方の現代ドラマのテイストからのSFへの流れと伏線が凄かった。


そう思っているのか、普通の街並み、ではなく、バイカル湖湖畔の小さな町のような景色に佇む鳥羽さんの近未来的な本屋さんから出てきた和響は、その美しい湖を眺めている。


――ウクライナも、美しい風景や歴史的街並みがたくさんあったのに、ニュースで見る映像はあんなにも破壊されてしまっている。戦争は、人の命を奪うだけじゃなく、そこに生きてきた人々の歴史も奪っていくのかもしれない……


と、感傷的に湖を見つめながら思っているようだ。そんな和響に、中央アジア系であろうか瞳の大きな明るく素敵な女性がロシアの伝統料理、ボルシチをもってきて、本屋さんの庭先に置いてあるテーブルへと誘った。


「ぜひ、召し上がってみて。これはロシアの味よ。ロシアという国は長く寒い冬がある国。だから温かいお料理で、ビーツという真っ赤な野菜の栄養を冬にも取れるように保存して、こうして寒い時期に食べるの。ビーツは私たちの血液なのよ。もうすぐ暖かい春が来るわ。私たちの中に流れる血はきっと目覚める。もう、独裁者や独裁者をプロバガンダする権力闘争から、目覚める時なのよ」


と言って、ボルシチを和響の前においた。和響は、最初その意味が分からなかったようだが、すぐに理解したようだ。


――確かに。プーチンは独裁者。でも、ネットでの情報を一切見ていないらしい。そして、その側近も、今の世界情勢を、ロシアがどう思われているかも含めて、プーチンに言ってないらしい。これは、プーチンが作り出した権力社会による、プーチンへのプロバガンダかもしれない。裸の王様になってるということかもしれないってことだ。


そんなことを思いながら真っ赤なボルシチを食べているようだ。早く、目覚めて欲しい。殺戮をして手にする権力は、本当の平和な国を作ることではないことを。



そんな事を書きながら、今日もカクヨーム王国での和響の日常は過ぎていく。今は深夜なので、多少誤字があったらそこはすいませんと思いながら。



何が西側諸国のフェイクニュースだ!


本当にそうならばいいのにと思いながら、フェイクではないニュースを見ている。もう、胸が痛くて、どうしたらこの紛争が平和的に終結するのかと、思わずにはいられない。でも、終結を今しても、罪なき人の人生がめちゃくちゃになったことは、変わらないのである。



だから、今日も祈りたいし、それしかできない自分がいると、和響は思っている。



――――黙祷。



祈ることしかできないならば、祈り続けたい。だって、それしかできないのだから。そして、そんな世界平和を祈る気持ちが、いつか世界を平和にできると、その可能性を信じ続けたいから。

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