会場散策 (12:三郎さん)

ここはクリエイティブな物書きと、それをこよなく愛する読者さんが住んでいる国『カクヨーム王国』である。


さてさて、本日も早速、和響わおんとやらを覗き見してみよう。今日は本当は土曜日で来れそうになかったのだが、夫の帰りまで時間があるとわかり、急ぎ指でやってきた。そして、彼女は、『平和と祈りの祭典』会場へと早速出かけて行く。


「自主企画【戦争のない平和な世界になりますようにと、優しい「祈り」を込めて書いた作品募集します!】https://kakuyomu.jp/user_events/16816927861270086890】へレッツラゴー!」


まさに妄想世界。あっという間にイベント会場の中へとついた。イベント会場の中は様々なジャンルの作品がホログラムで浮かび上がり、オールジャンルの登場人物たちが楽しくお茶をしている、優しいカラフルな世界である。


――こら、動けマウス! 最近使いすぎてて直ぐ電池がなくなるんだよなぁ。いかんいかん、こんな文字数ももったいない! 時間がないんだから! さささ! 今日はまずここからだね!


そういうと彼女はイベント会場の中から、エントリーナンバー12番の三郎さんのホログラムの前に立った。何やらあたたかそうな家族のホログラムである。その隣についているレビューには、


『涙が出る。幸せって怖い物じゃない、嬉しくてギュッてなるもの・・・』


『人に、社会に訴える物語』


などと、これはとても大切なテーマが入っている作品だと、レビューを読むだけでわかる内容が書いてある。


――これは、レビューを見るだけでも、なんだか胸に迫るものがある……ようし! 早速いくか!


「三郎さんの! 【家族の形  作者:三郎】https://kakuyomu.jp/works/16816452218309144224 へレッツラゴー!」


と口に出した。毎回ではあるが、便利な妄想世界。あっという間に三郎さんの本屋さんの前である。ここは現代シティの恋愛地区のようだ。男性同士のカップルや、女性同士のカップルがいて、みんなでお茶をしたりしている。LGBTという言葉はもはやなくても、全ての人が全ての生き方を受け入れているような、なんだかとても優しい街である。


――ここが、三郎さんの本屋さんね! 現代的な街並みの中にある一軒普通の本屋さんだけど、中を覗くと、いろいろな形のカップルがいるなぁ。わたしも昔、いろいろなカップルの友達がいた時あったけど、もうこれはLGBTなんてわざわざ分けなくても、好きになって愛し合えるなら、なんでも普通でいいじゃんね! と、いつも思ってるんだ。わたし。愛のないほうが寂しいよ。てなわけで、早速、


「三郎さん、おじゃましまぁす!」


そういうと、暖かな春のひだまりに建っている、普通の一軒家のような本屋さんの中に入って行った。そして、本を手に取り、頭からすっぽりと中に入っていき、そうか、そうだよね、うんうん、などと深く頷きながら、ぽんっと外に出てきた。そして、いつものように、何やらお手紙を書いている様子。


――これは、とても深い、お話でした。えっと、作品紹介のところを見ると、「どっちがお母さんなの?」「どっちもお母さんだよ」これは、同性婚が法制化された未来の日本で生きる一組の家族の話、とあるだけあって、テーマが深い。長編作品だし。でも、普通の日常の中にある、「普通」の価値観をとても勉強できそうな作品。適当に流し読みは絶対したくないから、ご挨拶だけして行こうかな。


『初めまして。コメント失礼いたします。この度は、自主企画「戦争のない平和な世界になりますようにと、「祈り」を込めて書いた作品募集します!」に参加していただいて、誠にありがとうございます( ^ω^ )「 普通とか当たり前なんて、ただの多数派でしかないからあまり気にしなくて良い 」まさに。その通りだと思います!長い作品で適当に読むのも違うと思うので、また改めて、読ませてください』


そうお手紙に書くと、三郎さんの本屋さんのポストに入れて、歩き始めた。どうやら妄想世界の便利なワープは使わないらしい。どうやって帰るのだろうか。


――この町の公園で幸せそうにしている人たちは、もしかして性的マイノリティと呼ばれる人たちかもしれない。でも、マイノリティって何が一体悪いというのだろう。誰かを愛した、魂が引かれて愛し合った。でもそれはたまたま同じ性だっただけ。うちのトカゲの性転換疑惑じゃないけど、多様性が当たり前に慣れば、もうそれが普通なんだよね。だって、この町の公園で幸せそうなカップルよりも、現実ワールドではもっとおかしなことが起きているよ。なんで人が人を大量に虐殺できるんだろう。その人たちの方がどう考えたっておかしいし、幸せでも、平和でもないよ……


そう思いながら、散歩をしながら帰るようだ。なんなら、この町のみなさんとお茶でもしていきたい気分のようにも見える。



そんなこんなな平和なカクヨーム王国は、今日も穏やかな春の日差しの中優しい時間が流れていくのだった。はやく現実ワールドでも、優しい光に包まれた、平和な世界になってもらいたいものだ。



最後に、被害に遭われお亡くなりになられた方々に鎮魂の祈りと、世界が平和になることを祈って。



――黙祷。



一刻もはやく、戦争のない、暖かな愛で溢れる世界になりますように。

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