会場散策 (8:春泥さん、9:月城 友麻 (deep child)さん)

ここはクリエイティブな物書きと、それをこよなく愛する読者さんが住んでいる国『カクヨーム王国』である。


さてさて、本日も早速、和響わおんとやらを覗き見してみよう。今日も彼女は、『平和と祈りの祭典』会場へと早速出かけて行く。


「自主企画【戦争のない平和な世界になりますようにと、優しい「祈り」を込めて書いた作品募集します!】https://kakuyomu.jp/user_events/16816927861270086890】へレッツラゴー!」


まさに妄想世界。あっという間にイベント会場の中へとついた。イベント会場の中は様々なジャンルの作品がホログラムで浮かび上がり、オールジャンルの登場人物たちが楽しくお茶をしている、優しいカラフルな世界である。


――ではでは、今日も行っときますか! 超楽しみ! えっと、昨日はエントリーナンバー7番の城田さんまで行ってきたから、今日はこれだね! そのお隣のエントリーナンバー8番! 春泥さんのだね! では、早速!


「エントリーナンバー8番春泥さんの【不幸図書館 作者:春泥 https://kakuyomu.jp/works/16816927859074329021】へレッツラゴー!」


大変便利すぎる妄想世界。あっという間に春泥さんの本屋さんの前へとついた。なんと、春沼さんは、ホラーシティとSFシティのあたりに本屋さんを持っているようだ。通りの向こうの方には、宇宙船やらが浮かぶSFシティが見える。今日訪れたのは、ホラーシティの、これはどうやら、図書館のように大きな本屋さんのようだ。


――うひょー! すんごいでっかいな! この本屋さん! まるで図書館のようだ。しかも、なんか洋風な古い図書館……。ゴクリ。心して入るといたしますか。


そう言いながら、和響とやらは、長い石の階段を、図書館のような本屋さんに向かって登っていく。大丈夫だろうか、現実ワールドではほぼほぼ運動をしていないから、息でも切れそうなものだが。


「はぁ、はぁ、はぁ、すんげー長いなこの階段! やっとこさついたわ!」


――しっかし、でっかい図書館だなぁ、一体どんな本が置いてあるんだろう?


額の汗を手でぬぐい、図書館越しに灰色の空を見上げ、ぶるっと身震いをした彼女は、エントランスの重厚な扉を開けて、中へと入って行った。そして、しばらくそのまま静かな時間が流れたのち、腕に三冊の本を大事そうに抱え、唸りながら出てきたようだ。


「ううむ。うううむ。うむむ。ううむ。深い。深いですよ、春泥さん……。すごい世界観でした。そして、司書で館長のブカウォームさんに、本を渡されてしまった……。さ、三冊も……。でも、これはきっと平和につながる大切なことが書かれているんですよね。うむ」


――不幸なことを知れば、何が幸せなことかがわかる。そうかも知れない……。館長さんのお話を聞いていてそう思った。不幸なことを経験したからこその、平和。誰もそんな不幸な経験したくないけれど、でもどっかで誰かが経験したこととして教えてくれたら、そしてそれを、自分の事のように感じることができたら、誰かが不幸になることは、絶対にしたいと思わない気がする。まさに、今だからこそみんなに来てほしい不幸図書館だ。これを作ったのは、愛の人だと思う。愛ある一族の愛が作り出した蔵書たち。今の世に本当に必要な図書館だ。


そんなことを思いながら、早速お手紙という名のレビューを書いて、図書館の壁にそっとくっつけた。そして、さっきよりは明るくなった空を見上げながら、図書館の長い階段に腰掛けて、しばらく休憩したのち、


――ふぅ、すごい世界で唸ってしまった。他の作品も読んでみたいな。よし、一息ついたし、次のエントリーナンバー9番、月城 友麻 (deep child)さんのところへ行くとするか。


とでも思ったのか、さらにさらに、さっきより明るくなった空に向かって、


「エントリーナンバー9番!【花舞い散るドラゴンのミートパイ  作者:月城 友麻 (deep child) https://kakuyomu.jp/works/16816927861243144331】へ、レッツラゴー!」


と右手を空に上げて叫んだ。もうほんと、すんごい便利な妄想世界。あっという間に異世界ファンタジーシティへとワープした。なんともファンタジーな街並み。これこそ、なんでもアリーナのシティである。空にはドラゴンが炎を吐きながら飛び、勇者らしき若者が魔法使いと一緒にご飯を食べているカフェまである。月城さんの本屋さんにも、庭の中に色とりどりの花が咲く花畑があり、どうやらその中に食事のできるスペースがあるようだ。


「何ここ!? めっちゃ可愛い♡ なんか私もお腹が減ってきたなぁ。後で、ここでランチでもしていくか!異世界飯何が出てくるんだろうって楽しみだ!」


と、口の中に食欲という名の露を溢れさせながら、まずは妄想アトラクションに向かう。


「お邪魔しまーす! 月城 友麻 (deep child)さんいらっしゃいますかぁ? おや、お留守のようだね、というか、あれか、ちょうど今お昼時だから、カフェの方が忙しいのかな? では私はまず先に妄想アトラクションを楽しませてもらいますぅ」


そう言って、赤いギンガムチェックのテーブルクロスが掛かった、まあるいテーブルの上に置いてある本を手に取り、頭から本の中に吸い込まれていった。そして、しばらく妄想アトラクションを楽しんだのち、あぁ、私もすぐにでも食べたいなどと言いながら、本の中からぽんっと戻ってきた。そして、いつものように、お手紙という名のレビューを書いて、可愛い本屋さんの中にあるカフェへと持っていく。


――そうか! さっきは気づかなかったけど、これこないだまで募集してた、《料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト》エントリー作品だったんだね! どおりでお料理の描写が美味しそすぎたわけだ! もうお腹がペコペコだもん! やっぱり、美味しいものを楽しく食べると、敵も味方もなくなっちゃうよね! ほんと、現実ワールドの怖いこと考える人たちみんなに、可愛いドラゴンちゃんの炎で作った、美味しいミートパイを食べてもらいたいよ! 和牛だよ和牛!めちゃくちゃ美味いんだから!


そんなことを考えながら、レビューなるものをお店の店員さんに、これお願いしますと手渡して、お花畑の中にある、なんとも平和なカフェテーブルへと向かって行ったのであった。



こうして、今日もカクヨーム王国は、敵も味方も関係なく、みんなで仲良くできる平和な世界であった。はやく現実ワールドもそうなってもらいたいものだ。美味しいものを楽しく食べて、よく寝れば、取り憑いている悪魔もすぐに退散するだろうに。


そんな今回の最後も、やはりお亡くなりになられた方々への鎮魂の祈りと、一刻もはやく、戦争のない平和な世界になってほしいという祈りを込めて、



――黙祷。



世界が優しい光に包まれて、戦争のない平和な世界になりますように。

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