ファンレターの書き方って知っている?
くすのきさくら
伝えるのって難しい
注)この物語はかわいい?推しが出てくるかもしれないが。基本男のみである。かわいい子を求める場合は注意である。何度も言うが男2人の物語だからな。
それもどうでもいい。とある日の事だ。
――。
新学期がはじまりしばらく経った日のこと。さすがに二年目ということもあってか。俺はすでに大学生活も慣れおり。それなりに楽しい生活を送っていた。
まあ基本大学に来て講義ばかりだな。なんか気が付いたら平日は1日中大学に居ることもしばしば。ちなみに今日も朝から晩まで講義だ。
そんな日の今はお昼休みの時間だ。
俺は講義棟の隅っこにて、片手にパン。もう片方にはペンを持ち。お昼ご飯を食べつつ便箋とにらめっこをしていた。
いきなり何を言いだすのか。と思うかもしれないが。
いや、ちょっとね。何というのか。まあファンレターを書こうとしているのだが……そもそも俺はファンレターを書いたことがなくてね。
少し前に書き始めたはいいが 「こんにちは、はじめまして――」と、いうところで止まっている。 進んでいるのはペンとは逆の手に持っているパンを食べるということだけだ。
いや、難しいね。どのように書いたらいいのか。などと俺は考えつつ。
「ファンレター……ファンレター……」
そんなことを呟いていると――。
「お疲れー。
俺の後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「うん?あー、
「急にどうした?手紙で告白か?」
「そんなわけないわ」
俺の元へとやってきたのは、黒髪短髪で最近は何故か髭にこだわってるという同じく大学二年生の
そうそうちなみに俺は
「で。何してるんだ?」
再度、喜志が俺に尋ねつつ前の席に座ったので俺は――まあもしかしたらこいつなら書き方を知っているかもそれないと思い聞いてみた。
「いやさ。ファンレターってどうやって書くんだ?ってか何を書くんだ?」
「いきなりだな。何があったんだ?」
「何があったというか。まあ感謝ってか。その――なんて言うんだ?もうすぐ引退するらしくてさ。まあこういうの受け取らないかもしれないが。日頃ってか。感謝を伝えたいなと。ふと思ってさ。数日前に封筒と便箋までは買ったんだが――どう書いたらいいかわからず止まっているところに喜志が来た」
「引退かー。そりゃ寂しいな」
「まあな。ずっとお世話に。だからな」
「まさかの俺の知らないところ尼ヶ辻が追っかけをしていたとはな」
「追っかけって程ではないんだが――でも普段からだし」
「それ追っかけでは?でも、ファンレターか。うん。俺ので参考になるかは――だが」
「おっ?喜志書いたことあるのか?」
これは言ってみて正解だったらしい。喜志の反応からして――ファンレターを書いたことがあるらしい。と、俺が思っていると。
「いや、俺さ。ラノベ結構読むって前に行っただろ?」
「あー、言ってたな。月に数冊は買って読んでるって」
「それで、基本呼んだラノベの感想送ってるんだよ」
「えっ?ラノベ読んで感想……送ってるのか?誰に?」
「いや、そりゃ作者の人にだが――まあ送るのは出版社ってかそこの編集部?だがな」
「そんな送れるんだな」
いやー、初情報。ってかちょっとびっくりだったな。本を読んで、その感想を作者の人に送るとは――うん。俺もラノベとか読まなくはないが。まあ読んで面白かったー。とかで終わるからな。などと思っていると。
「本の最後にファンレター宛先とか書いてあるラノベあるぞ?」
「そうなのか?知らなかった……」
「まあ、そういうことで、その時の事を話すと――まあでも俺は感想書いてるな」
「感想か」
「物語の中で――ここが一番好きとか。どこどこの場面の表現がすごくよかった的な事をいつも書いているかな」
「ふんふん」
なるほど。と俺は思いつつちょっとノートにメモを書いていた。
いや、どんなことを参考に――ってことでね。メモしておかないと、普段しないことは忘れそうだからな。
「あとは――次巻楽しみってか――要望ってのもおかしいかもしれないが。まあ自分の好きなキャラクターの出番増やしてくれー。とか書くな。まあ自由に書いてるな。思いついたら書くってか」
「あんまり考えないで書いたらいいのか」
「ってか。もしかして、イラストレーターさんに書いている方の事が参考になるか」
「うん?イラスト……?」
「あれだよあれ。挿絵ってか。ラノベの表紙とかさ。キャラのイラスト描いている人にも一緒に書くからよ」
「マジか」
「ちなみに同じこと言うが。ほんの最後に宛先書いてあるのもあるぞ?」
「マジか。その2だな。ってか。へー、だな。知らないことが多いわ」
うん。マジで、本の最後にそんなこと書いてあるところあったっけ?とか俺は思いつつ。喜志が意外にも手紙をよく書いている気がしてきていた俺だった。
「ちなみに、イラスト描いてくれている人には――あれだな。ヒロインかわいかった!が多いな。カラーの挿絵ってかはじめの方にあるだろ?」
「あるある」
「そりゃ他の挿絵もどれも良いが――カラーは最高なんだよ。だからそのイラストについて感想書いたり――あっ、でも他の挿絵。他のイラストでも良いやつはいっぱいあるからさ。それについて書いたり。さっきと似たようなことかもしれないが。次巻ではこんなイラスト!ってかそれは作者さんにその場面作ってもらわないとかー。みたいな。まあ勝手に1人で話している感じに書いて――まあ希望もちゃっかり。ってか。ちなみに今俺が激推しのキャラが髭を好んでいてな――ってこれはいいか。まあ、感想を書くだな」
後半喜志が暴走しそうだったが――まだ現実に自分で戻ってきていた。
「喜志がめっちゃしゃべるよ」
「尼ヶ辻が書き方聞いてきたからな」
「まあそうか。ってか。じゃあ。挨拶書くだろ」
「うん。書くな」
「その後すぐに――まあ感想というのか。今までありがとう的な事をいきなり書いてもいいのか?さっきまでは、自分の自己紹介でも書いた方がいいのかと思っていたんだが――」
うん。少し前までの俺の頭の中のことをちょっと話すと。
挨拶からの自分の自己紹介を書いてから、まあどういう経緯で書くことになったか。そしてありがとう。というぼんやりしたのがあったのだが――なんかね。違う気がしていてなかなか書きだすことが出来ていなかったのである。
そのため俺が喜志に聞いてみると――。
「自己紹介か。まあ俺が勝手に思っていることだが。あまり長々と書いても――読む側も大変かと思うから。自分の事はほとんど書かないで、作品の事。感想だけ書いているな」
「あー、そうか、読む側か。まあ読むかわからんが」
「いやでも結構みんな読んでくれているみたいだぞ?たまに返事来るし」
「そうなの?」
「うん。そういえばこの前も来たな。忙しいはずなのに、俺なんかの感想に返事くれる作者さん居たな。うん。ちゃんと届いたー!って感じだな。あと感謝感謝だ」
喜志の話を聞いていると――うん。さらにファンレター書きたくなってきたな、である。
「マジか。じゃあ――挨拶からの……今までの思い出みたいなの書いて。感謝みたいな感じでまとめた方がいのか?」
「まあ長くなってもいいかもしれないが――そこは何ともだな。でも引退なんだろ?」
「ああ。再来月だったかな?引退らしいな」
「ならすぐじゃないか。いつくらいからファンでした。一番の思い出は――とかでもいいんじゃないか?っかたくさん書いてもいいかもな」
喜志のアドバイスをメモしつつ書くことを考える俺。すると喜志が。
「で、どんな子なんだ?かわいい子か?尼ヶ辻が――ってことは、ってか。お前の好みを俺知らないから。教えろだな」
「なんだよ急に」
「いや、尼ヶ辻が普段どんな生活してるかあまり知らないしな。大学で話すことは多くてもー。だろ?」
「まあ確かに、ってかわいい子ってより。あれはかっこいいだよ」
「おお、ボーイッシュ?って言うのかそういう子がタイプか。ちなみにな、俺は帰国子女ってか。ハーフの子好きだな。まあ現実でお知り合いにはー。だがな」
「—―うん?」
ちょっとした違和感を覚えた俺だった。
「どうした?尼ヶ辻」
「いや、喜志はなんで女の子の話ばかりしてるのかなーと」
「えっ?いやだってファンレター書くんだろ?推しの子に。ってそもそも誰に書くんだ?」
「誰って――お前もいつも乗ってるじゃん」
「—―はい?」
「大学に来るときに乗っている電車」
「うん……?あー、もしかして運転手とか車掌にか?」
喜志がスッキリした!という感じで聞いてきたのだが――うん。ちょっと気にはなっていたのだが――どうも話がかみ合ってなかったというか――と俺は思いつつ。
「いや、引退する電車になんだが?」
俺がそう言うと、喜志がフリーズした。うん。何でだ?俺はずっと今まで毎日乗っていた電車。お世話になった電車が引退することになったと聞いたから、日ごろの感謝を――と思って、だったのだが――あれ?言ってなかった?と考えることになったのだった。
この後の事を言うと――。
喜志になんか俺はいろいろ言われた――説明が下手。紛らわしいというか。うん。いろいろ言われたが。でもなんやかんやで最後は笑っている俺達2人だった。
にしても自分の好きな事を相手に伝えるは――難しいである。
誰か俺にファンレターの書き方というか。気持ちの伝え方を教えてくれである。
俺がファンレターを無事に書けたのかは――また別の話だ。
(おわり)
ファンレターの書き方って知っている? くすのきさくら @yu24meteora
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