第13話 お姉さん×お出かけ
いろいろあった勉強会も終わって翌日、せっかくのゴールデンウィーク、それに天気も外で活動しろとばかりにいいからお出かけをすることにした。
と言ってもとこに行くとか具体的な事は決まってないのが現状だ。
「で、どうします?」
まずは行き先を決めるためにも、というわけで駅の旅行会社の窓口で貰ってきたパンフレットやパソコンで検索した画面を二人して睨んでいるわけだが……。
「う〜ん、宿泊はごにょごにょ……」
柚乃さんはというと、さっきから顔を赤らめたりニヤけたり真面目な顔をしたりと忙しそうだ。
仕方ないから俺が話を進めるか……こうしてる間にも刻一刻と時間は過ぎるんだからな。
「とりあえず小旅行って気分にもなるんで温泉入ってどっかに泊まりません?」
旅行とお出かけの境は宿泊はするかしないかってのが俺の価値観だから、一泊二日でいいだろう。
「おお、お、お泊まり!?」
柚乃さんは、ぷしゅーと顔から湯気をあげると突っ伏した。
「ダメだよ〜そんなの健全じゃないよ……」
そんな声が漏れ聞こえてくるが、何を考えて不健全なのかは、よく分からない。
「男湯、女湯それぞれあるから大丈夫ですよ?布団も別ですし、それにこの旅館だったら交番も近いから何かあっても大丈夫だと思います」
とりあえず安心材料になりそうなことを言っておく。
「でも……」
「何がそんなにダメなんです?」
そう質問すると柚乃さんは、言い淀んだ。
「だって……私と高森くん、同室でしょ?」
まあ確かにそうなるな……二部屋借りればそれだけ料金も増すわけだし。
「何か問題でも?」
俺だって節操ある高校生だ。
その辺のシコ猿と一緒にされては困る。
「問題って……ほら年頃の男女が一つ屋根の下、隣り合わせの布団に寝るんだよ!?」
それって今とそう変わりなくないか?
「柚乃さん、僕ら同居してるんだからそれくらいどうということないでしょ?」
そう言うと、柚乃さんは唖然とした。
「ほんとだ……なんで襲われないの……不思議ね」
いや、世間の男子全般が女性と同居しただけで性犯罪に手を染めるわけが無いだろ……。
いくら刺激に飢えている男子高校生といえでも基本的に、了承を得てから事に及ぶはずだ。
「もしかして……私が幽霊だから……?はっ……!?それとも魅力がないから?」
柚乃さんは、勝手に一人で呟いて勝手に一人で納得している。
そしてため息をついた。
一応、フォローしておくか。
「そんなことないですよ?柚乃さん、ちょっと抜けてるとこありますけど、綺麗ですし一緒にいて楽しいですから十分魅力的だと思いますよ?」
効果の程は、柚乃さんの様子を見ればすぐわかる。
「えへへ……そう、かな?」
だらしない表情を浮かべて両手で顔に手を当てている。
いくらなんでも、ちょろ過ぎやしないか?
死因が悪い男に騙された、とかじゃないのが謎に思えてくる。
変な男に騙されたりしないよう俺がついてる必要がありそうだ。
いや、既に死んでいるから変な悪霊か?
「そこまで、言うなら泊まりでもイイよ」
だらしない顔のままの柚乃さんからの許可も取れたので早速、宿の確保をして荷物の準備をすることにした。
幽霊お姉さんと始める同居生活〜世話の焼けるお姉さんは嫌ですか?〜 ふぃるめる @aterie3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。幽霊お姉さんと始める同居生活〜世話の焼けるお姉さんは嫌ですか?〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます