616.今年も無事開催できました
神社の周りとか、養鶏場の周りではごみ拾いをしたけど、自分の山の周りをみんなで清掃していると懐かしいという気分になるのが不思議だった。
去年はこの辺りを回ったからかな。
適当に雑談をしながら相川さんの山の方へ向かいつつごみを拾い、大型ごみがないことにほっとした。
秋とか、涼しくなれば猟友会の人たちに見回りを頼んでもいいが、夏の暑い時期はさすがに気を使う。猟友会に所属している人はどちらかといえば年配の方が多いのだ。狩猟人口も年々減ってるっていう話だし、どうにかならないもんかな。
「全く……煙草の吸い殻ぐらい自分で処理しろってんだよなぁ~」
おっちゃんが苦笑しながら火バサミでひょいひょい吸い殻を拾っていた。ポチやタマよりも早く取っているのがすごい。ポチがちょっとむーっとしていたが、ニワトリが嘴で吸い殻を拾うのは怖いのでこちらでできるだけ取った方がいいと思う。
「ポチ、タマ、吸い殻は拾わなくていいから他のを拾ってくれなー」
聞いてはくれないだろうけど一応言っておいた。
「じいちゃんすごーい」
「ごみ拾いぐらいで褒められてもなぁ」
お孫さんに言われておっちゃんは苦笑する。でも満更でもなさそうだった。こういう交流もいいよな。
「今日帰られるんでしたっけ?」
「ああ、今日帰るんだが孫たちが参加したいっつーからな。俺が連れてきたんだよ」
「いいおじいちゃんですよねー」
「よせよせ」
話しながらもごみを拾う手は止めない。けっこうプラスチックとかも落ちてたりするんだよな。ペットボトルに巻き付いてるかんじの。こういうのって風で飛んできたりするんだろうか。
今日おっちゃんちのお子さん家族は住んでる場所に帰ることになっている。後で挨拶に顔出した方がいいだろうなと思った。
お子さんたちは今日運転をすることになるからギリギリまで寝せておくそうだ。確かにお盆中は渋滞もするだろう。できるだけ休んでいってもらった方がいい。事故ったりしたら目も当てられない。
相川さんの山の麓で少し休憩して水分補給をする。日が上ってきたので戻りは暑くなるだろう。
「これから暑くなりますから、ちょっとでも気分が悪かったら教えてくださいねー」
大人子ども関係なく声をかけて、また取り残しのごみがないかどうか調べながらうちの麓まで戻った。
さすがに往復で二時間近くかかるわけで、すぐに作業に取り掛かるのがちょっとつらい。子どもたちは元気でニワトリたちの側にいる。
「お疲れ様でしたー! BBQの用意をしますので、待っててくださいねー」
BBQの準備は残ってくれた大人たちで大体やってもらっている。おっちゃんとこのお嫁さんが二人とも来てくれていて申し訳ないと頭を下げた。
「いいんですよ~。こちらの方が楽しいですし」
ふふふと笑われてしまった。
こちらに参加することで帰りの運転はしなくて済むそうだ。それなら確かにこっちの方がよさそうである。
でも手伝っていただいたことに変わりはないのでお礼は言わせてもらった。いろんな人に手伝ってもらえるからこうして開催できるのだ。感謝を忘れてはいけない。
また今回も本宮さんは率先して手伝ってくれたりして助かった。それも今回は桂木妹とかなりいい雰囲気になっている。
やるなぁと思った。
相川さんの従弟だけあってイケメンだし、気も利くのだろう。モテない要素とか全くないではないか。
別に彼女が欲しいわけじゃない。単純にこれは俺のひがみだ。
桂木さんが困ったような顔をしながらBBQの手伝いをしてくれていた。姉としては複雑なんだろうなと思う。本宮さんが見かけ通りいい人だといいのだが。
肉や野菜を焼き始めたので、ニワトリたちのポンチョは回収した。ユマが機嫌良さそうに俺の後を追ってくる。メイもユマの後ろからついてくるのが本当にかわいかった。
少し離れたところにビニールシートを敷き、ニワトリたちには野菜類を置いた。
「ポチ、タマ、ユマ、メイ、野菜あるぞー」
それほど大きな声は出さなかったが、ニワトリたちはみなトットットッと近づいてきた。
「後でまたあげるから、とりあえず今はこれだけなー」
ユマとメイを撫でてみんなの様子を見に戻った。子どもも大人も肉を率先して食べている。最終日だしたーんと食えよと思った。足りなかったらごめん。
あらかた食べ終えれば子どもたちはニワトリと遊び始める。様子を見てそろそろいいかというところで解散にした。
「えー? もう終わりー?」
「ユマちゃん一緒に帰ろー!」
「メイちゃんうちの子になるー?」
こらこら、ユマとメイを連れて行こうとするんじゃない。
将悟君がメイをだっこしていた。メイもおとなしくだっこされている。将悟君が子どもということもあるんだろうが、ニワトリたちはつついたりしない。おっちゃんちのお孫さんがユマに何か話しかけていた。
ユマも素直に聞いているみたいだった。
「今年もごみ拾いウォークに参加してくださり、ありがとうございました! 来年も開催するかどうかはわかりませんが、また機会がありましたら参加していただけると嬉しいです」
挨拶をして、今年も無事ごみ拾いウォークは終わったのだった。
今年も駐在さんにはお世話になった。今年は場所が違ったりしてたいへんだったと思う。
「佐野君、ありがとう。また連絡するよ」
山倉の圭司さんに声をかけられた。多分山の参道整備のことだろう。暑い時期は休みでいい。また涼しくなってから連絡してもらえればいいと思う。基本は俺ががんばるし。
あらかたみんなで片付けを終えた後、相川さんは駐在さんにお礼を言いに行ってくれるそうだ。そのついでに本宮さんを送っていくらしい。
おっちゃんは「昇平、また後でな~」と言ってお嫁さん、お孫さんたちと戻って行った。桂木姉妹も「また~」と挨拶をして帰っていった。
打ち上げは後日だ。
ごみもまとめたし、明後日にでもごみ処理場へ運んで行けばいいだろう。(今日は土曜日である)軽トラの荷台に載せた。
「ポチとタマは待っててくれるか?」
と聞いたら、ポチとタマは何言ってんだ? という顔をして、自力でツッタカターと山の上に駆けて行った。そういえばそういう奴らだったな。メイがついていこうとしたのをユマがまた阻止していた。
ココッ、コココッ! とメイが抗議する。
かわいいなとにこにこしながらメイをだっこし、助手席に乗せたのだった。
ーーーーー
次の更新は18日(木)または19日(金)です。
その辺りでなんかお知らせありますのでまったりお待ちいただけると幸いですー。(謎
1500万PV記念SSは今しばらくお待ちくださいませ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます