517.成長はめざましいと思う

 玄関の網戸をどうするか悩んでいる間に昼も近くなった。


「お昼ご飯どうします?」


 相川さんに聞かれてはっとした。そういえば今日は二人なのだ。なんとなくいつものようにスーパーでお弁当などを買って駐車場で食べるものと思い込んでいた。


「どうしますかね……そういえば、スーパーの地下にフードコートみたいなのがありませんでしたっけ?」


 ホームセンターの近くにある大型スーパーは確かフードコートがあったはずだ。


「ああ、たまにはいいですね。行きましょうか」


 相川さんがにっこりした。今日の買物はそこの大型スーパーですることにし、先にごはんを食べることにした。

 平日だというのに意外と人はいたが、大体が幼稚園ぐらいの子連れだった。いや、子どもはもっと小さいかもしれない。幼稚園前の子とかだと、働いてないお母さんはずっと一緒に過ごさないといけないから間が持たないんだろうなと思った。

 フードコート内にマク〇ナルドがあったので久しぶりにそこで買った。バーガーなんか食べるのはいつぶりだろう。たまにジャンクなものを食べるとうまいなと思う。そういえばマ〇クのポテトが大好物だという女の子がいたっけ。遠い記憶が思い出された。


「佐野さんはマ〇クですか」

「はい。なんか久しぶりだなと」


 相川さんは天ぷらうどんだった。


「天ぷらうどんもいいですね」

「ええ、つい目に入りまして」

「ポテトは適当に摘まんでいいですよ」

「それは悪いですよ」

「足りなかったらまた買ってくればいいじゃないですか」


 食べ終えてのんびりした気分だったが、ふとスマホを確認すると、食べ始めてから十五分ぐらいしか経っていなかった。どんだけ食うの早いんだっての。


「ゆっくりしたつもりでしたけど、全然時間って経たないものですね」

「そうですね。中学校時代の頃の影響が残ってるんでしょう」


 相川さんが苦笑した。

 そういえば中学生の時って昼食の時間が短かった気がする。トータルで20分ぐらいしかなかったんじゃなかろうか。それでゆっくり食べろなんて言われても響かないよな。早食いはメタボの原因なんていうけど、学校の昼食時間の短さがメタボを増やしてるんじゃないかなんて思ってしまう。

 って今更言ってもしょうがないけど。


「もう少しゆっくり食べたいですよね」

「そうですね」


 なんて言いながら、また軽トラいっぱいに食材を積んで帰ることにした。


「お付き合いいただいてありがとうございました」

「いえいえ、僕も買物には行こうと思っていましたので」


 今回は何事もなくてよかったなと思いながら、帰路についた。

 家のある山の中腹まで戻ったら、車の音を聞きつけたのかツッタカターとタマが攻めてきた。いや、本気で攻めてきたと思ったんだ。それぐらいまっすぐ駆けてきたし。


「タ、タマ? どうしたんだ?」

「オソイー」

「あ、ごめん……」


 何かあったわけじゃなくてよかったとへらりと笑ったらつつかれた。ひどい、ひどすぎますタマさん。まだ二時にもなってないじゃないですか。


「タマ、痛い! 痛いって! ちょっと! まず片付けるからっ」


 とりあえずクーラーボックスの中身を冷蔵庫と冷凍庫に片付けないといけない。

 タマはツーンとしてトットットッと元いたのだろう場所へ戻って行った。相変わらずツンがひどくて泣きそうです。

 やれやれと家のガラス戸を開ける。ユマとメイは土間にいた。


「ユマ、メイ、ただいま」

「オカエリー」

「ピィピィピィ」


 とメイが鳴いた。うおお、癒されるなこれ。


「ちょっと撮らせてくれ」


 と言ってアングルはかなり厳しかったがスマホで写真を撮らせてもらった。うん、違和感がすごい。ユマがでかすぎる。これはもう遠近法を駆使して撮影するしかないのだろうかと思ったりもした。


「そういえばポチは?」


 タマは突撃してきたけどポチの姿は見えなかった。


「ポチー、イッター」

「ああ」


 ポチは俺を待つことができなくてとっとと遊びに行ってしまったらしい。ダメパパだな。うん、間違いない。

 でも運動させないと夜眠れなくてうるさくなったりするからそれでいいんだろう。そりゃあタマが焦れて怒るわけだ。

 ガラス戸を開ける。


「タマー、ありがとな。遊びに行っていいぞー。暗くなる前に戻ってこいよー」

「ワカッター」


 タマはそこらへんで虫をつついていたが、返事をして北側へツッタカターと走っていった。

 さて、ポチはどこまで行ったのか。きっとタマが見つけてつつくのかなと思ったりもした。

 ユマとメイに水を出し、買ってきたきゅうりを適当な大きさに切って出した。(スーパーの地場野菜コーナーで安かったからつい買ってしまった)メイにはそれなりに小さく切って出す。そういえばうちのニワトリたちってどれぐらいからあんな歯が生えてきたんだっけか?

 ユマがきゅうりをバリバリと音を立てて食べた。普通はこんな音はしないと思う。

 パリパリと音がした。え? もしかしてメイ、もう歯が生え始めたのか?

 ちょっとびっくりした。

 でもよく考えたら、うちのニワトリたちもニワトリになりかけの頃からマムシとか獲ってたよな。多分丸飲みはしていなかったと思う。離れて食べてもらっていたからよくわからないけれども。



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「ワケあって引っ越した~やんちゃオウムと村暮らし」番外編も含めて完結しました!

https://kakuyomu.jp/works/16817330647950678232


また番外編など書きたくなったら書きますねー。

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