第11話

「さて……と」

 

 僕は森の中を歩いていく。

 

「ここら辺で良いかな?」

 

 そこそこ森の深くまで歩いてきた後、僕は足を止める。

 ちゃんと10分くらい歩いている。


「よっと」

 

 僕は自分の体内の魔力を開放させて、森全体に行き渡るようにする。


「ふー」

 

 魔族たちに侵略者と呼ばれているアレイスター家の失敗作。

 あれらはアレイスター家に対して当然のように強い怒りと恨みを持っている。

 そんなあれらが僕の……アレイスター家の魔力を感知したらどうなるだろうか……?実に簡単な話である。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

  

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 当然のように僕の方へと怒りを顕にして追ってくるに決まっている。

 姿を表したのは全部で五体の失敗作。

 青くくすんだ肌に、のっぺらぼうとなっているその相貌。

 背中からは歪すぎる翼が羽ばたいている。

 腕や足の長さもバラバラで、腹が裂け、臓物がはみ出しているような個体まで居る。

 血は全て汚い決勝となって固まっている。


 脱走した失敗作は全部で五体。……ここにいる奴らが全てだろう。

 繁殖することがないように全て男を使って作られているから。


「ふぅむ……」

 

 改めて見るとアレイスター家のやっていることってエゲツないな……ドンの引きである。

 僕の代ともなればあらかた必要な研究は終わらせているので、こんなにひどい人体実験とかはやっていない。


「さぁて……軽くひねってあげるとしようか」

 

 僕は後ろを向いて歩き出す。

 飛んでくる全ての失敗作の攻撃を全て回避して……はどうせ走っても大した速度で動くことなんて出来ない。

 ならてくてく歩いていた方が良い。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


「そろそろやな」

 

 僕は森を抜ける。

 その後ろには失敗作たちがいる。


「さて……」

 

 ここからはいかにかっこよく、いかにエレガントに敵を倒せるか、という仕事となってくる。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 僕の方へと迫ってくる失敗作の攻撃を次々と回避していく。

 ギリギリのところを滑らせるようにして……踊るように。


「な、なんだ……あれ」


「だ、誰だ……?」


「おいッ!!!誰かッ!軍団長様を呼んでこいッ!!!侵略者と誰か知らないガキが戦っているってな……ッ!!!」


「……もしかして……あれ。双剣の小悪魔じゃないか?」


「……は?そ、そんなわけ……」


「ん?双剣の小悪魔ってなんだ?」


「……ハァ!?知らないのかよッ!お前ッ!数年前に大活躍した伝説の傭兵だぞッ!!!」

 

 魔族たちが僕の方へと集まってきて、視線を向けてくる。 

 ふふふ。良い。それで良い……これだけ集まれば既に十分だろう。


「ダンスの時間は終わり」

 

 僕は跳躍し、失敗作たちから少し離れる。


「次は殺し合いの時間だ」

 

 大地を駆け抜け、僕へと向かってくる失敗作。

 あれらは僕に向かって必殺の一振りを下ろしてくる。


「遅いな」

 

 僕はそれを平然と避けて見せる。

 失敗作の腕が僕の横を通過した途端……失敗作の腕が吹き飛ばされる。


「ッ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」


 失敗作の悲痛な叫び声が辺りをこだましていく。

 僕はそんな失敗作の頭を鷲掴みにして、掴み上げる。


「第十二階位魔法『神雷』」

 

 溢れんばかりの魔力と光が暴走し……全てを焼き尽くしていく。

 失敗作は灰となって消えていく。

 まずは一人。


「おせぇぞ」

 

 僕は次の標的の元へと転移。

 手に持っている短剣で斬り刻んでいく。

 例え頭を落とされても再生するような厄介な奴であるが……再生能力にも限界がある。

 100ほど致命傷を与えれば、再生が間に合わなくなり、屍を晒すこととなる。

 残り三人。

 空間魔法を使って一瞬で倒しても良いけど……それだとパッとしない。瞬殺すぎる。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 残った失敗作たちは僕に向けて魔法を放ってくる。

 熱線。

 万物を溶かすまでの熱量を持った熱線が僕の方へと飛んでくる。


「ほい」

 

 僕は空間を歪めて熱線を防ぎ切る。


「フィナーレだ」

 

 熱線をうち、動きを止めている失敗作との距離を詰めて短剣を動かしていく。

 体術において、僕が負けることはない。

 失敗作の攻撃を全て防ぎ、確実に短剣を振るって失敗作の命を奪っていく。

 

「終わり」

 

 僕は最後に残った失敗作の首を跳ね飛ばす。

 もう限界まで再生している。これ以上の再生は不可能だ。




 あとがき!

 新作短編!読んでぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!

『僕が自分の姉がどうしようもないド変態のヤンデあることを知らない件について』

 ホームページのリンク

https://kakuyomu.jp/works/16816927863219836148

 一話のリンク

https://kakuyomu.jp/works/16816927863219836148/episodes/16816927863224228378

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