第13話
「あぁ……面倒……こんなの僕が得意な仕事じゃないのに。もっと僕の得意な仕事をさせてよ……」
ブツブツと文句を言いながら僕は魔族の大群の前に立つ。
「……殺さないで……大群と戦うとかもう僕の仕事じゃないじゃん……僕がいつそんなことしたよ……一回もしたことないよ」
憂鬱。憂鬱。憂鬱。
別に大群を相手にしても構わない。得意ではないけど、負けること無いからゆっくりと対処すれば良いんだけど……でも、殺しちゃいけないのが大変だ。
「……出来るわよね?これくらい?」
僕の隣に立っている魔王が僕に尋ねてくる。
「出来るだろう。此奴であれば」
魔王の質問に対して勝手にリガルレインが答える。
「皆殺しにしてやろうか」
隣にいる魔王とリガルレインに向けて僕は吐き捨てる。勝手に面倒な仕事を押し付けてきやがって。
確かに駒になるとは言ったけどさッ!
僕は既に臨戦態勢となっている魔族たちの方へと視線を向ける。
溢れんばかりの殺意の視線を。……殺しちゃいけないのはわかっているが……殺意を向けるくらいなら良いだろう。
「ふんッ!あれは認めねぇぞッ!さっきのはどうせいか」
「うっせぇ」
僕は一瞬で距離を詰めて、今叫んでいた魔族の男の腹を拳で撃ち抜く。
「ぐほっ」
魔族の男の口から大量の唾液があふれ……ゆっくりと体を倒した。
「なっ!?卑怯だろ!?」
「ァ?戦争時にもそういうのかよ」
僕は足を回して動かし、魔族の男の顔面を吹き飛ばす。
「ふー……」
深く息を吐き……僕は他の魔族の男たちの方へと視線を向け、拳を構える。
「短剣は使わないであげる……使ったら殺しちゃいそうだし」
僕は既を魔族の男たちに向ける。
忌々しいことに魔王とリガルレインより僕に渡された仕事。
それは魔族の大群を相手にすること。僕の強さを認められなかった魔族たちの相手をすること。
縛りは殺さないこと。
暗殺者を相手に殺さないことを命じるってなんだろうか……?いじめかな?
無意識のうちに命を刈り取ろうとしちゃんだけどさぁ……もう普通に最悪なんだけど。
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