第12話

「ふぅ……」

 

 しっかりと自分の仕事、失敗作の排除を終えた僕は部屋でゆっくりとしていた。


「我は魔王につくことにしたッ!!!……君たちも知っての通り、魔王様は反戦派として動き、その果てに追放されることになった。しかしッ!魔王様は……!」

 

 外からリガルレインの声が聞こえてくる。


「何よりも大きな理由が……勝てないからであるッ!君たちも見たはずであるッ!あの男の力を!戦神のごとき力を振るう怪物をッ!……断言しよう。人族との戦争ともなれば我々は造作もなく敗北する……あの怪物に君は……勝てるだろうか……私は勝つことは難しいと断じよう」

 

 良い感じに僕をダシに使っているリガルレインである。


「ふわぁ……」

 

 リガルレインが僕をどう使って演説しようと関係ない。興味もない。

 ……そんなことよりも問題なのはミリアが居なくて美味しいパフェを自分で作るしかないことである。

 ミリア……もしくはパフェ作りの練習をしているリーリエでも連れてくれば良かった……少し無茶でも。

 パフェ無いのがとても悲しい……。


「ふー」


 仕方がないので自分で作る……自分で作るしか無いから。……非常に悲しい。


「私も手伝うよッ!!!」


「ほんと……?ありがと」

 

 手伝うと言ってくれたキャサリンと一緒にパフェを作っていく。

 ……別にパフェを作ることくらい僕でも出来る。

 ただ……ミリアが作ってくれたものよりは味が落ちてしまうだけで。


「出来た!完成だね!」

 

 完成したパフェを前にミリアが嬉しそうな声を上げる。


「うん。そうだね」

 

 僕もミリアの言葉に同意する。

 

「食べよ。食べよ」

 

 僕とキャサリンは作り終えたパフェを持ってソファの方に向かう。


「んー。美味しい」

 

 キャサリンが一口食べて頬を緩ませる。


「うん。美味しい」


 ミリアほどとまでは行かないけど、ちゃんと美味しい。ちゃんと文句のない味になっている。

 

「エルピスくんー」


「んー?」


「好きだよー」


「ありがと」


「えへへ」

 

 ■■■■■

 

 今回の主役は僕でも……サブマたちでもない。

 魔王だ。

 これは魔王が自らの地位を再度取り返す物語だ。

 

 そこに僕は要らない。

 今回の僕は駒に徹する……変わってしまった今のアレイスター家のように。

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