未定
@menumenu_sheep
序
夢を見た。
目を覚ますと冷たく深い青で私は息をしている。
見慣れた青よりもずっと深く重い青の中に私は浮いていた。
文字通り、浮かんでいるのだ。
手元に視線を落とせば見慣れた自分の両手が見える。
そのまま足元に視線を移すと、ただ永遠に続く青が目に入る。
暗く、どこまでも続く深淵に私はぶるりと身震いをして目をぎゅっと瞑る。
辺りには私以外息をするものはなく、まるで世界でたった一人になったような気さえする。
(————ここは何処だろう)
心細い。
そんな一言がぽつりと浮かんだ。
そもそもどうして私はこんなところにいるのだろうか。
小さな疑問だけが頭の中をぐるぐると駆け回る。
疑問は徐々に不安に変わり、その不安から身を守るように私はぎゅっと体を小さくする。
(—————あれ、揺れてる、?)
ゆらゆらと微かに自分の体が揺れているのを感じる。
おそるおそる目を開き、辺りに視界をめぐらせてみるが景色に変化はない。
ただ一度意識してみると微かにだが、ゆらゆらと体が揺れているのが分かった。
まるで海の中にいるようだ。
と、私は思った。
ゆっくり体を伸ばしてみる。
先ほどまで怖いと感じていた青が、なんだか少し暖かく感じる。
この空間に慣れてきたのか、得体のしれないと感じていた空間に順応し始めたのか、私は先程よりも不安感を感じなくなっていた。
ふと頭上に目をやると、周りの青は上のほうに向かってどんどん薄くなり、下のほうに向かうにつれどんどん濃くなっている。
(——————本当に海の中かも、)
だったら上に向かって泳げば海の外に出られるかもしれない。
青の中に一歩踏み出そうとして、私ははたと足を止めた。
(あぁ、なんだ)
これは夢だ。
夢だと気づいた私は上に向かって踏み出すのをやめた。
再びぎゅっと目を瞑って体を小さくする。
なんて酷い夢だ。
こんな夢、見たくない。
先程まで暖かく感じていた青が、またスッと冷たくなったような気さえする。
ゆらゆらと体が揺れるのさえ煩わしい。
そうだ、これは夢なのだ。
だって、
「私が歩けるはずないのに」
未定 @menumenu_sheep
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