皆さんは、「頑張れ」と言われると嬉しいでしょうか。
　応援してくれる人がいることは、とても素敵なことです。応援のお陰でいいパフォーマンスが出来るスポーツ選手も沢山います。

　しかし、「頑張れ」と言われることで重い荷を背負うような気持ちになる人もいます。
　応援されたことで「どうしてそんなことをいうのだろう？」と「頑張れ」の言葉の裏に潜むものを感じ、傷ついてしまうのです。
　これはそういう風に感じている少女のお話なのですが、彼女はあるイベントを通じて「頑張る」について別の答えを導き出すのですが、果たしてそれは一体——？

「頑張れ」という言葉を聞き飽きて疲れを感じている人に、一つの考えを与えてくれるお話です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（180文字）

失敗するのが怖い。頑張らなきゃいけないのはわかっているのに、頑張れない。
そんな引っ込み思案の内気な女の子が、初めての握手会へ行く。
彼女の心理描写が、細やかな筆致で優しく綴られています。読み終わった後に、ほっこりと温かい気持ちになれます。

誰かにとっては簡単なことでも、他の誰かにとっては重荷であることたくさんあるでしょう。あの子はできても、わたしはできない。がんばる。その意味も励ましになるのか惨めさを募らせるだけなのか、受け取り方は多様です。

本作は外出が苦手な子が、大好きな声優の握手会に行くお話。
彼女にとっては決死の思いです。
そこに込められた感情や過程、そしてその後までが、丁寧にですが押しつけがましくなく描かれています。
秘めた情熱を感じさせる作品、おすすめです。