推しが近くに居ます〜ずっと推していた配信者さんは俺の後輩でした〜
徳田雄一
推し活って凄い
俺はしがないサラリーマンの
今日もその楽しみのために、仕事を丁寧にこなして定時にあがり、コンビニでビールとおつまみを買って家へと帰る。
居間に到着し、スーツから着替えを済ませた後に、缶ビールを開けるプシュッと言う音、おつまみの蓋を開けるビリビリという音とともに、俺は推しである西條るるという配信者さんの動画を見る。
そして今日はその西條るるさんの生配信があるという事で急いで帰ってきたのだが、どうやらアプリの通知で、今日の生配信が無くなってしまったことを今更確認した。
悲しさに打ちのめされながら、他動画を見ながら寝落ち、翌日を迎えてしまった。
俺はいつも見ている推しの動画から何とか元気を補充しながら今日も一日仕事をするために会社へ行くと、後輩である
俺はひっそりと驚かそうとして忍び足で後輩の後ろに回った瞬間驚愕した。
「えっ?!?!」
「え、あ?!」
「さ、西條るるさん?!」
「……」
「き、金城?!」
「……ばれちゃいましたね」
「お前がるるさんなのか?!」
そう。金城が何を真剣にPCをいじっていたのか、それは西條るるとしての自分の動画を編集するためだったんだ。
俺はいつもメガネを眼球にくっつくのではないかと思うほどに強くかけて、そして暗い雰囲気を身に纏い猫背な彼女が、るるさんだとは思わずただ驚いてばかりいると、金城は俺の頬に手を当てて言った。
「……秘密にしてくれる?」
「お、お前。俺の方が年上だぞ……?」
「いいから。答えて?」
いつもの金城ではなく動画で見ている、るるさんのような少し冷たく刺すような声、そして何故か身近に居るような安心感。それが金城から漂う。
俺は気づけば答えていた。
「ひ、秘密にします」
「ありがとっ。でも翼先輩本当に秘密にしてくれるか分からないので、私と同棲してください」
「へ?」
「ちなみに私のおうちは配信で稼いだ分もあって、何部屋もあるおうちなので、私が配信している間はその部屋に閉じこもっててくださいっ」
「わ、分かりました」
俺は二つ返事で、了承してしまった。
その日仕事終わりに金城に呼ばれ、奇妙な同棲生活が始まった。
☆☆☆
あの日から数ヶ月が経ち、今はなんと結婚している。
あのずっと推していた西條るるさん改め金城瑠璃と。
でも俺は別部屋で今も尚【推し活】。推しに貢ぐ為に投げ銭をしている。
俺の場合はレアケースで推しが近くにいるが、投げ銭している間はあの頃のずっと追いかけていた推し活をしていた頃を思い出している。
推し活は自分の心を癒し、身体を癒し、そして何より生きる希望をくれる。
みんなもどうだろうか。推し活をしてみては。
「……瑠璃。配信お疲れ様」
「ありがと。つばささん」
推しが近くに居ます〜ずっと推していた配信者さんは俺の後輩でした〜 徳田雄一 @kumosaki
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