S級冒険者の俺、かつての恩人である少女の推し活を始める
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
第1話
推し活……それは、推しを応援すること。
推しの幸せが私の幸せ!
そう思えるような人しかできない。
そんな行為なのだ。
「……というわけだ。わかってくれたか?」
「よ、よく分かりません……」
目の前の少女は少し涙目になりながら言う。
ここは冒険者ギルド。
俺が推し対象の少女に熱弁しているところだ。
「そっかぁ……。まあ、そのうち分かるようになるさ。今後も力一杯応援するからな! 困ったことや欲しいものがあれば何でも言ってくれ!」
俺はこの少女を推しにすることに決めている。
「わ、私にそんな価値なんてないですぅ……。だから、私なんかじゃなくて他の子を支援してあげてくださいぃ……。」
「何を言う。行き倒れていた俺を救ってくれたじゃないか! 君がいなければ今頃どうなっていたかわからないぞ?」
この世界に来て、野垂れ死にそうになっていた俺に恵みを与えてくれたのが彼女なのだ。
「それは……。人として当然の行為で……」
「それに、こんなにも可愛らしいんだ。もっと自分に自信を持つといい!」
「かわっ!? うぅ……。恥ずかしいですぅ……」
少女が顔を真っ赤にしてそう言う。
性格は優しく謙虚で、外見も美しい。
これは推すしかないだろう?
「とりあえず、まずは君の実力を見ておきたい。依頼でもやってみるか?」
「えっと……。そのぉ……。私はあまり戦闘が得意ではないのでぇ……。今やSランクになられたあなた様の足を引っ張ってしまいますぅ……」
「大丈夫だ。どんな相手だろうと必ず安全にサポートしてみせる。だから安心してくれ!」
「ほ、本当にいいんですかぁ……?」
「ああ、任せてくれ! さあ、早速行くとしよう!」
「はいぃ……。よろしくお願いしますぅ……」
こうして俺は、推しの対象であるこの少女と一緒に依頼を受けることになったのだった。
俺の推し活はまだまだこれからだ!!!
S級冒険者の俺、かつての恩人である少女の推し活を始める 猪木洋平@【コミカライズ連載中】 @inoki-yohei
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