近未来SF世界で紡がれる、高校生の淡い恋と青春。

 西暦2085年。人類は新たな移住先にできる星を探していた。ある時、金星に派遣された調査団が未知の生命体「ストレンジ」に襲われて全滅し――と。近未来SFな世界観の作品です。

 そんな世界で、ある日のこと。主人公は、この時代には珍しくも紙の本を読んでいる先輩と出会い、恋に落ちます。

 彼女を見つけては、一緒に昼休みを過ごす。初々しく微笑ましい交流を続けるふたり。しかし先輩は、未知の生命体の調査隊に選抜されてしまい――……


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 近未来SF世界の中で送られる、高校生の切ないボーイミーツガールのお話です。別れの結末は予想できますが、そこに至るまでが綺麗に納得感ある形で描かれていると思います。また、期待していた以上に爽やかな読後感でした。

 メッセージの頭文字を繋げて読むと……という伝え方は、この世界観だからこそ、よりレトロチックな良さを感じられて素敵だなぁと思いました。

 個人的に〝この日この時に想いを伝えようと決意したものの、その日が来る頃には、もう……〟という切なくやるせなくほろ苦い展開が大好きなので、それを味わえる短編という点でも気に入っております。

 この度レビューを書くにあたって再読いたしましたが、読んでいる間は、ゆったりと癒やされるような感覚でした。先の展開に繋がる描写や設定がしっかりと置かれているので、安心して読める作品かな、と。

 不器用に淡い恋をしていて、青くてかわいいなという印象だった主人公も、ラストの四年後のシーンで強く成長した姿を見せてくれて良かったなと思います。

 また今度のホワイトデーにも読み返したいですね。オススメです!