現代の二刀流の考察

鈴ノ木 鈴ノ子


有名な言葉がある。


ペンは剣よりも強し。


有名な言葉がある。


剣はペンよりも強し。


この矛盾を抱えたような言葉に踊らされて、過去の歴史の闇に幾人の人々が消えていったことだろうか。ニュースペーパーや書籍の時代においてこの戦いは一進一退を繰り返していた。


執筆者が書き上げる前に殺せば剣士の勝利。


剣士が殺す前に上梓してしまえば執筆者の勝利。


簡単な方程式であった。剣から銃となり殺しはさらに楽になった。キルには剣では近づかなければならなかったが、弾ならいくらでも飛ぶ。


この争いに近代終幕が見え始めている。

剣士が広範囲を瞬間的に焦土と化すことのできる兵器を振り翳していたが、それに等しい武器を執筆者は手に入れた。


電子ペーパーの海、インターネットである。


初期は遅かったが、現代では多種多様なシステムやアプリが開発されたことにより大発展を見せている。


これにより執筆者は殺されたとしても、遺作を大々的に四方八方に読ませることが可能となった。そしてまた、読み手も写真や動画で情報を発信し執筆者の手助けともなっている。


剣士は統制を取ろうとするが、それは砂漠の砂が両手からこぼれ落ちるのを阻止するのに等しい。


今、まさにそれが試されている。

大国と小国の戦争において、どちらが勝利を得るのか、が掛かっている。


これは冒頭に述べたことを、後退させるのか進展させるのか、の瀬戸際と言って良い。


我々は試されている。二本線に、三本線が被さり、時代を逆行する世界にはなってはならないと思う。


常に平和と繁栄を、そしてペンに正義と規律を。


なにより、執筆者の武器を剣士に使われないように気をつけよ。


二刀流にどちらかがなるとき、それこそ、天国と地獄の世界になるだろう。

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現代の二刀流の考察 鈴ノ木 鈴ノ子 @suzunokisuzunoki

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