KAC2022・第一回目・お題『二刀流』

curuss

─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ ……いつも思うのだけど、どうして単発に『エピソード・タイトル』が必須なんだろう?

 二刀流が好きだ。

 このように書き出すと、また底の浅い剽窃かと呆れられるかもしれない。

 しかし、お題を熟考した結果、ここからしか始められないと思った。

 けっしてウケ狙いではないし、本歌取と気取った訳でもない。


 長剣と長剣の二刀流が好きだ。

 シンプルにして王道。

 一本でも強い剣を二本も使う。当たり前に強い。

「1+1はじゃないぞ。オレたちは1+1で200だ! 10倍だぞ10倍」

 とプロレスラーの小島聡も仰っている。


 二刀流専用剣での二刀流が好きだ。

 それが一対で銘なんかを持っていたら、鼻息が荒くなってしまう。

 もちろん炎と氷のような、対照的な設定も大好物だ。

「光と闇が両方そなわり最強に見える」

 と名言にもある。


 長剣と小剣の二刀流が好きだ。

 著しく性能の異なる二刀での役割分担は、対比の妙を内在している。

 なにより――

「ユパだ! 討ち取って名を上げろ!」

 との台詞を聞けば、誰もが勇姿を思い出せよう。


 小剣と小剣の二刀流が好きだ。

 片方は逆手持ちでスタイリッシュなんて魅せられたら嫉妬に狂ってしまう。

 嗚呼、ヴィンランド・サガの少年トルフィン!

 彼の戦闘スタイルには、厨二心を満たす全てがある!


 パートタイムや臨時の二刀流が好きだ。

 基本的には一刀を両手持ちで操りながら、即興で脇差を抜いたり、拾った武器などを利用したり。

 もちろん格闘技だって、剣と併用すれば立派な二刀流だ!


 異種武器での二刀流が好きだ。

 邪道のゲテモノ扱いだろうが、良いものは良い。

 短剣と鞭、斧と鎚矛、ブーメランと空手……枚挙に暇がないどころか、創作者の数だけ無限の組み合わせが!


 なかでも日本刀と拳銃の組み合わせなんて絶頂もの!

 もちろんスーツ姿にコート、ミラーシェードは譲れない!

「これがサイバーパンクだ、ザッケンナーコラーッ!」

 と現代の歌人『残当火』も詠んでいる!


 そしてガン=カタと呼ぶべきかもだけど――

 二丁拳銃!

 あれも広義には二刀流と呼ぶべきであろう!



 嗚呼、素晴らしきかな二刀流! 汝こそは厨二心を満たすロマン!



 しかし、リアルに考えると二刀流って必要なかったりも。

 現実世界で最も真剣に取り組んでいるのは、ずばり剣道でしょう。二刀でも大会へ参加できるほどですし。

 ただ細かなルール上の制約からか、攻撃より防御に大きな恩恵があるそうです。

(二刀目である小刀では一本が認められ難かったり、小刀に禁止事項があったりする)

 これは対戦相手の感想も同じなので、ほぼ事実でしょう。


 これで不都合な真実を暴かれてしまいます。

 逆手に構える二刀目が、攻撃より防御に恩恵なら――


 盾でよいのでは?


 そもそも殆どの格闘技は右でも左でも攻撃してよかったりします。

 ですが――


 左右で同時に殴る技なんてのはレアです。


 武術の奥伝とかに散見できる程度?(そして実用性にも疑問符が)

 ボクシングの左右でワン・ツーなんてのも、凄い速さで一回ずつ順番に打ってるだけです。

 漫画『はじめの一歩』で青木選手が左右で同時に繰り出す『ダブルパンチ』を見せてくれますが――

「大丈夫? それ青木の技だよ?」

 だったりしますし。

 それどころか実践的には――


 どちらかの手を防御へ回しながら、残った方で攻撃


 で二刀流剣道と同じ戦術!

 また二丁拳銃とかだって――


 一度に狙えるのは一つだけだから、二つ持つ必然性はない


 だったりします。

 左右の銃で同じものを撃つなら意味はありますが――


 それなら両手保持のライフルとか機関銃の方が合理的では?


 といえたりも。

 さらに異世界ファンタジーでは別の制限が!


 竜や巨人と斬り合うのに、片手保持に適した剣で戦うのでござるか?


 という難問が!

 そもそも片手剣って対人想定というか――


 人間サイズの敵ですら、許されるなら両手保持しなきゃダメポ


 がFAだったりします。

 ましてや家ほどの大きさなモンスターです。それこそ――


 漫画『ベルセルク』に登場した『ドラゴン殺し』が標準な世界では!?

 もう身の丈程な刃渡りだろうと、それを魔力なりチートなりで振り回すのではないかと。


『ドラゴン殺し』

 「それは剣というにはあまりにも大きすぎた」で有名な大剣。

 ファンによる推定が――

 全長 190cm 幅 18~27cm 厚さ 7cm 重量 165kg

 ちなみに史実の最重量と比べて20倍ぐらい。



 さらにフェンシングの祖先は二刀流でしたが、洗練されていくにつれ――


 二刀が廃れて片手へ!


 実践の極みで――


「とにかく相手より先に当てりゃええねん」


 が回答の武術らしい進化といえます。

 こうなってくると二刀流を最終結論とした宮本武蔵が疑わしく!?

 というか武蔵は――


 そもそも兵法家であって武術家ではないよね?


 なぜに彼の結論が日本武術界の総意な如く!?

 そして普通に考えたら――


 他に二刀流を推す流派の少なさを疑問に思うべきでは?


 それこそ「道を極めた者が辿り付く場所はいつも同じだ」な訳で、一人しか辿りつけなかった真理なんてありません。

 それとも日本の武術界は宮本武蔵だけが正しくて、他は間違いだらけ!?


 武術研究が専門の先生によると「武芸書の9割は平和な江戸時代に書かれたもの。高確率で嘘や捏造、思い込み」らしいです。

 また有名な『五輪の書』も、後世に大量加筆された痕跡が。

 つまり、熱心な宮本武蔵ファンによる二次創作の可能性すら?


 一般的な日本武術の結論は――

「確かに二刀は強いんだけど、それは一刀が完成してから手をつけるべき」

 という合理主義から掛け離れた精神論的なもの。

 結局、二刀目を開始できた人の圧倒的少なさから、徐々に廃れていったそうです。



 Oh,No! 二刀流が好きなのに、考えれば考えるほど――


 その全否定になっちまっただよ!


 歯で咥えて三刀流だとか、一本増やして無限四刀流とか、タコだから8本とか、いっそのこと千本とか競ってる場合じゃねぇ! 皆のロマンがピンチずら!


 もう嫌だ……嫌なんだ……厨二センシズを押し殺し……パートタイムな二刀流でお茶を濁すのは……――



 ………………そうか。そういう能力にすればいいのか!



 異世界ファンタジーは『ドラゴン殺し』が標準であるべきなら――


 主人公ヒーロー達には『ドラゴン殺し』を二刀流させれば!

 それで僕らのロマンは守られる!

 なに『ドラゴン殺し』サイズであれば、下手な盾より大きい! というか原作では盾代わりにも使っていた!

 むしろ盾代わりにもなるような武器だからこそ、二刀流の理由にすら!?


 ハレルヤ! 問題は解決された! 僕らは二刀流を登場させてもいい!


 ……尚、現実世界準拠での解決策は思いついてない模様。

 しかし、今宵はここまでにいたしとうござりまするで、とっぴんぱらりんのぷう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

KAC2022・第一回目・お題『二刀流』 curuss @curuss

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ