思いついちゃった小話「二刀流」
@samex
二刀流
小話を一つ。
私も人間ですから、欲の十や二十くらいは持っております。
その中でも富と名声への欲は幾つになっても薄れるようなものではございません。
右手に富を、左手には名声を。これぞ欲の二刀流といったところでしょうか。
しかしながら、古より「二兎追うものは一兎も得ず」と言われるように、なかなかうまいようにはいかないもんでございます。
現に私も、富も名声も得られずにいて、こんな小話で人目を引こうとする有様です。
さてこの言葉、私は昔から疑問に思っていたのです。
なぜこの人物は二匹のウサギを追いかけることになったのでしょうか?それも同時に二匹をです。
富でしょうか。名声でしょうか。
いえいえ、たかがウサギ二匹ではたいしたものにはならんでしょう。
必要に迫られてでしょうか。誰かに命令されてでしょうか。
ありえなくはないでしょうが、「同時に」二匹を追いかける必要はないでしょう。
遊びでしょうか。それとも賭け事でもしているのでしょうか。
誰かのためでしょうか。それとも何かしら大きな目的があるのでしょうか。
いったいこの人物は何があって、ウサギを二匹、追いかけることになったのでしょう。
この人物が、男であるか女であるか。老いているのか若いのか。それはどこで、いつのことか。
そんなことはどうでもいいのです。
私が知りたいのは、なぜ、ウサギ二匹を追いかけているのかだけなのです。
なぜそれが知りたいのですかって?
それはね、この話のお題が
「二兎追う理由(にとおうりゆう)」
だからです。
思いついちゃった小話「二刀流」 @samex
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