第889話 頻尿の男

 頻尿というのはトイレに行く回数が多い事を意味する。

 日中なら8回以上トイレに行くのが頻尿だ。

 夜に眠っている時に2回以上トイレに起きるのを夜間頻尿と定義される。


 原因は色々あるが、何といっても加齢が最も大きな要素となる。

 つまり人間、誰しも年を取ったら頻尿気味になるわけだ。


 残念ながらオレにも来るべき時が来た。

 夜に何度もトイレで目が覚める。

 回数で言えば夜間頻尿の定義に当てはまってしまう。


 対策として過活動膀胱の薬を飲むか、睡眠薬を飲むか、という事になる。

 過活動膀胱の薬が抗コリン作用で精神に影響を及ぼす可能性を考えれば、やはり睡眠薬の方が無難な気がする。


 誰よりも寝付きのいいオレが睡眠薬ですか、と思いつつデエビゴを飲んでみると抜群に良く効いた。

 ストレートに6時間眠れる。

 取り敢えずトイレに行って、さらに3時間眠る。

 再びトイレに起きて目が覚めて、結局は合計9時間の睡眠!

 

 その事自体は画期的だけど、勤め人にはちとマズイ。

 目が覚めたら午前9時でした、では話にならない。

 朝7時に病院に着くことを考えれば、いくら遅くとも6時には起きる必要がある。

 デエビゴを飲んだら9時間睡眠をしてしまうわけだから、午後9時までに床に就かなくてはならない。


 もうこれ、小学生じゃん!


 次なる対策は別の睡眠薬か?

 7〜8時間眠ってスッキリ目覚めるもの。

 とはいえ、ベンゾジアセピン系は抵抗あるしなあ。

 こうなったらデエビゴと同系統のベルソムラを試してみるか。


 ……って、オレはいつの間にか睡眠薬マニアになってしまったのかも。

 何だか自分で自分が怖い。



 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る