第887話 コンニャクになった男
みっちゃんは、不動産王だ。
ある日、突然の心停止になって病院に担ぎ込まれた。
幸い心肺蘇生は成功したけれども脳がダメになってしまった。
いわゆる低酸素脳症ってやつだ。
自分で歩けるけれどもいつもよだれを垂らしている。
奥さんが非常に献身的で、いつも「みっちゃん、みっちゃん」と呼んで何とか支えている。
たぶん奥さんとは再婚で、それぞれに連れ子がいる。
みっちゃんは奥さんの連れ子の娘さんとはあまり仲が良くない。
一方、自分の方の連れ子の息子とは仲が良い。
でも、みっちゃんは息子のことを友達だと思っているみたい。
ところで、みっちゃんが病気になった後の事。
隣の家の火事をもらって自分の家も全焼してしまった。
にもかかわらず、隣の焼け跡から「プシューッ!」とかいう音が聞こえてきた。
なんと、隣のオッサンがビールを飲んでたのだ。
「この大変な時にビールかい!」と怒った息子がオッサンを殴りに行った。
でもオッサンがひょいと避けたので息子は壁を殴ってしまった。
ということで一家は別の家に引っ越した。
もともと不動産をやっていたせいか、住むところはすぐにみつかったそうだ。
現在のみっちゃんは1日に何回も痙攣を起こすけれども何とかやってる。
最近コロナにかかって39度の熱が出た。
以来、みっちゃんは弱ってしまってコンニャクみたいになってしまったそうだ。
御飯を食べるのも時間かかるし、トイレにもコンニャクを連れて行ってるみたいな感じなのだとか。
風邪をひくたびにコンニャクになるので、時間が経つのを待つしかないとのこと。
オレにみっちゃんのビデオを見せながら奥さんはこぼしていた。
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