第742話 宿題のない男 8
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【緊急速報!】
「第706話 鼻歌を歌う男」に登場した女子高生「さすらいネキ」が芸能界デビューすることになりました。彼女のインスタグラムには多くのおでんの写真がアップされている事から「おでんちゃん」とも呼ばれています。このたび
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(前回からの続き)
「ギャンブルで借金を作るのは論外、これは先生も異論がないよな」
「ありません」
「で、お金関係の
そうそう、それだ。
「実際、お金ってのはすべてを把握するのが難しいのが現実だ」
「自分でも把握できないくらい沢山持っているのですか、先生は!」
「いやいや。あっちの銀行にチョロッ、こっちの証券口座にチョロッという感じだな」
「僕もそうです」
徐々に部長先生の言わんとすることが見えてきた。
「それにローンとかクレジットカードの
「カードの枚数って増える一方ですね」
「そうだろ。それにポイントカードとかナントカ会員とかまで含めたらどんだけあるんだって感じだよ」
ポイ活とかマイル修行とか、それを趣味としている人でないかぎり面倒でやってられない。
「で、そういうのを全部スッキリ、自分の頭で把握できるようにしておくと幸福感が爆上がりってわけだ」
なるほど。
多少のお金があっても、どこにどれだけあるかをキチンと把握できなかったら、ゴミ屋敷に住んでいるのと同じことだ。
オレなんかクレジットカードの明細をみてもよく憶えていないものがチラホラある。
金額も頻度もたいした事がないので、そのままにしてるけど。
これらをすべて把握したら気持ちいいだろうなあ。
まるで整理整頓、掃除の行き届いた部屋に住んでいるみたいな気分になるんじゃないかな。
自分のお金や借金を把握できていないことを経済的不自由と表現するなら、すべて把握していることを経済的自由と表現してもいいかもしれない。
結局、貯金がジワジワ増えることと、自分の貯金や借金をすべて把握しておくこと。
これら2つが大切なんだろう。
とはいえ、現役の勤務医の間は忙しくてそれどころじゃない。
奥さんが頑張って資産管理をやってくれればいいけど。
確か部長先生の奥さんもどこかの病院の勤務医だったんじゃないかな。
そりゃあ不可能だ。
そう考えると、豪邸に住む大金持ちってのは、稼ぐ人と使う人の分業ができているのかもしれない。
稼ぐのは
それも1つの人生だろう。
感慨に
「経済的自由の次は身体的自由だよ、キミぃ」
「身体的自由?」
「要するに身体面で宿題を課せられない人生だ。こいつが1番難しい」
(次回に続く)
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