第716話 PLUTOを読む男
前回の第715話、「アトムになりたかった男」のコメント欄で教えてもらった。
「PLUTO」というタイトルの漫画があるそうだ。
鉄腕アトムの中の「地上最大のロボットの巻」に途轍もなく強いプルートウというロボットが出てきたが、その物語に対するオマージュ作品が存在するとのこと。
それが浦沢直樹✕手塚治虫による漫画「PLUTO」だ。
実際に浦沢直樹が株式会社手塚プロダクションに赴いて「地上最大のロボット」を原作にした漫画を創りたいと相談したのだそうだ。
その名もPLUTO、かの「地上最大のロボットの巻」に登場したロボットと同じ名前だ。
物語の最初も原作と同じようにスイス林野庁所属のロボット、モンブランが犠牲になるところから始まる。
原作の方はアトムを中心とした第三者的視点の物語だが、「PLUTO」の方はドイツのロボット刑事、ゲジヒトが主人公になっている。
だからメインストーリーは同じだけど、かなりの改変がなされている。
だからといって浦沢直樹を原作クラッシャーだとオレは呼んだりしない。
原作は大切にしつつもそれぞれの解釈で独自の世界を作ることは許されると思う、それが面白ければ。
「地上最大のロボットの巻」を描き直したいと言った浦沢に手塚治虫の息子である手塚眞はこう言ったそうだ。
どうせやるなら手塚治虫に真剣勝負、ガチンコ対決をやってほしい、と。
そして手塚治虫ファンの反発を共に受けましょう、と。
原作に対する解釈は無数にあっていい。
ピアノの名曲も、同じ楽譜で人によって色々な演奏があるのと同じだ。
読めば分かるが「PLUTO」は隅々に至るまで原作に対する浦沢直樹の愛情に満たされている。
そしてページをめくる手を止めさせない。
さて、PULTOだ。
まだ第4巻だけど、面白い!
連続ロボット殺人事件を追うゲジヒトの前にアトムが現れる。
原作ではかなり子供っぽい振る舞いをするアトムだけど、浦沢版では思慮深い少年になっている。
元々は無鉄砲に描かれていた子供が、「PLUTO」の中の大人びたアトムとどういう整合性をとるのか?
他の主要な登場人物である天馬博士は、いつどういう形で出て来るのだろうか。
興味は尽きない。
最後は200万馬力、究極のパワーを持つロボット、ボラーとの決着をつける事になる。
果たして浦沢はこの物語をどう着地させるのだろうか?
カクヨム作者としても勉強になる。
さらに読み進めよう。
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