第702話 「セクシー田中さん」を読む男

 にわかに話題になった漫画「セクシー田中さん」

 なぜ話題になったかというと、原作者の芦原妃名子あしはら ひなこ氏が自殺したからだ。


 事の経緯けいいはこういう事らしい。


 連載中であった漫画「セクシー田中さん」をテレビドラマにする企画があった。

 芦原氏は「原作のセリフや登場人物をできるだけ生かして欲しい」という要望を小学館を通じて日本テレビに伝えていた。

 が、原作者の意向はシナリオに生かされなかった。

 その後、原作者、脚本家、小学館、日本テレビの四者の間で確執があり、ついに原作者が自殺してしまった。


 オレ自身は「セクシー田中さん」という漫画もテレビドラマも知らない。

 そもそもウチにはテレビが存在しない。

 なので、コメントする事が出来ない。


 で、とりあえず「セクシー田中さん」を読んでみようと思い電子書籍という形で漫画を第1巻から読んでみた。


 最初の数ページは難解だったが、一旦物語の世界に入り込むと面白い。

 知らないうちに第1巻が終わり、第2巻も読み終わった。

 確かにベストセラーになってもおかしくないし、テレビドラマ化されるのもうなずける。


 田中さんというのは、とある会社に勤めているアラフォーの独身OL。

 でも、夜になるとベリーダンサーとして活躍している。

 これが田中さんの同僚女性社員、朱里あかりを通して描かれている。

 同僚といっても20代なので田中さんとは随分年が離れている。

 朱里あかりも田中さんもそれぞれに自分の人生を真面目に考えている。

 その心の中の葛藤が面白く、また考えさせられるものなのだ。


 田中さんと朱里を取り巻くのは、進吾しんご、三好、小西、笙野しょうのといった男性たちだ。

 それぞれを掘り下げてみると表面に見えるもののほかに、奥の方にも別のものを持っているという深みのある人物として描かれている。


 たとえば一見チャラい男が、実は彼なりに真面目だったとか。

 女性を敵視しがちな男が、過去にひどい失恋をしていたとか。


 だからドラマ化する場合には女性たちの心の葛藤をうまく描いたり、男性たちの性格を立体的に表現する事が大切だと思う。


 脚本家に求められるのは、台詞やストーリーを変えたり新たな登場人物を生み出したりすることではなく、原作者のメッセージをうまく映像化する事ではなかろうか。

 それが出来ていたのか否か、あるいはオレの想像を超えた別の面白さがあったのか、実際にドラマを見ないことには何とも言えない。


 まずは漫画を最終巻まで読んだ上で、可能な範囲を YouTube で見てから感想を述べようと思う。


 それにはちょっと時間がかかるので、次回はオレ自身の似たような経験を紹介したい。


(次回に続く)

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