第583話 身体中が痛い男 3

(前回からの続き)


 前回は、42歳で実家暮らし家事手伝いの女性が結婚相談所に出した条件が「30代で年収800万円以上の男性を希望します」というもので、それに対して婚活カウンセラーが「高望みです」と斬って捨てたという話をした。

 YouTube の企画での話だ。


 高望みの根拠として示されたのは、男性が女性に求めるのが実年齢、収入、そして外見の順という婚活市場の現実だ。

 ちなみに女性が男性に求めるのは収入、年齢、外見の順になる。


 男女とも婚活市場における高スペックや低スぺックというのがあり、スペックの大きく違うもの同士はマッチしない、というのが残酷な真実らしい。


 その事を前提とした上で、この42歳女性に対する婚活カウンセラーのアドバイス。

 ズバリ「相手に対する条件を下げて、年齢か収入もしくは両方を妥協しなさい」というものだった。

 オレも細かな部分は記憶していないが、条件として50歳以上で年収300万円程度の相手を含めれば十分に婚活市場で戦える、と助言していたように思う。


「はあ?」


 この女性相談者は怒り心頭。


「年収300万円でどうやって生活するのですか!」


 お怒りはごもっとも。

 確かに300万円では苦しい。


 でも婚活カウンセラーは動じない。


「結婚生活は2人で力をあわせて築いていくものです。たとえ相手の年収が300万円だったとしても、貴女も働いて300万円稼いだら合わせて600万円。これだったら十分に暮らしていけますよね」


 あまりにもド正論。


 しかし女性相談者も負けていない。


「私は働きたくないから結婚しようと思うのですよ」


 無茶苦茶な言い分だが、この人なりに筋が通っている。

 こういう考え方の人も少なからずいるはずだ。


 さあどう返す、婚活カウンセラー!


 しかし婚活カウンセラーは1枚も2枚も上手だった。

 全く想像できない、しかし現実的なアドバイスが用意されていた。


(次回に続く)

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