第486話 奄美大島から来た男 3
(前回からの続き)
「いいか、『ハブとマングース』という言葉があるだろう」
「ハブの天敵がマングース、いや、逆でしたかね」
女性レジデントは都会育ちだけに
「ハブを退治するためにマングースを
さすが現地民である医学生はよく知っている。
「でも、マングースもわざわざハブと戦うことはしないんです」
「あれは
「ハブとマングースの戦い」というのは南の島の観光名物だ。
多くはマングースが勝つが、ハブにやられることもあるらしい。
しかし、大自然の中でわざわざ
ハブもマングースもそれぞれに弱い物イジメに専念している。
人間社会でも同じこと。
中学校時代、名の知れた不良同士の直接対決なんか滅多になかった。
お互いに避けていたんだろう。
だから、ハブ退治にマングースを導入した試みは見事に失敗。
そればかりかマングースに家畜を襲われて散々な事になってしまう。
そこで、マングース
「ハブに話を戻しますとね、島で捕まえたら内臓を取り出して焼いて食べるんですよ」
「凄いなあ」
以前、中国人に「日本人はヘビを食べないそうだね。あんな
日本人でもちゃんとヘビを食べる人達がいて安心した。
「ところでインドではコブラ牧場ってのがあるのを知っているか?」
「なんですか。沢山育てて食べるんですか」
「おいおい、コブラまで食べるなよ」
実はインドでもコブラによる被害は
だから奄美大島と同じように、コブラを捕まえて役所に持っていけば1匹いくらかで買い取ってくれる。
そこでインド人が考えたのがコブラ牧場。
自分達でコブラを育てては役所に持っていって金に換える。
もちろん、そんな事をしてコブラ被害が減るわけではない。
これぞ行動経済学、システムの抜け穴を突いた巧妙なビジネスだ。
「さすが、インド人って頭いい」
「奄美大島でそんな事したら村八分です!」
「やっぱり島の人たちは真面目なんですね」
レジデントと医学生が勝手に盛り上がっている。
だからオレは奄美大島の
「知り合いの若い先生が奄美大島に研修に行ったまま帰ってこなくなってな」
「ええっ、
「実は
エキゾチックで純朴な島の娘にチヤホヤされたら「デヘヘ」となるのは男の
ハブの恐怖なんか頭から吹っ飛んでしまう。
「何と言う名前の先生ですか?」
医学生によれば
狭い世界なのでオレの告げた名前も知っていた。
それにしても美女の待つ南の島。
なんとも夢のある話じゃないか!
(「奄美大島から来た男」シリーズ 完結)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます