第476話 正面衝突した男
2023年6月18日(日)正午頃、北海道
事故の写真や映像を見るとトラックが対向車線にはみ出したように見える。
そのためか、トラック事業所は謝罪していた。
北海道警察はトラック側の運転手の過失を考え、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑を視野に調べているとのこと。
この事を報じたネットのニュースでは「どうせ居眠り運転だろう」というコメントが散見される。
これを医師という立場で考えてみよう。
実は、車の運転手が運転中に気を失うなどして事故を起こす、というのは珍しくない。
肌感覚ではニュース報道の何十倍もある。
多くは電柱やガードレールにぶつかるという自損事故という形だ。
だから、大事故になるわけではなく、したがって報道もされない。
では自損事故の原因となる疾患にはどのようなものがあるのか?
これは英文表記の頭文字をとって6Sと呼ばれることがある。
痙攣、失神、低血糖、居眠り、自殺、飲酒。
しかし、色々な症例を経験すると6つでは足りないことが分かる。
脳卒中、薬物、速度超過、無免許、車両の故障、道路の不具合、急性心筋梗塞。
かつて急性大動脈解離の発症により車が暴走した事故も報じられた事がある。
2016年2月25日、大阪の梅田で発生し、運転手を含む11人が死傷したものだ。
こういった病気は、いくら普段から健康管理をしていても防ぎようがない。
一般の人は運が悪い人間が病気になるのだと思っているのではなかろうか。
だが、オレの考えは違う。
運のいい人間がたまたま無事に1日を過ごすことができたのだ。
だから、たとえドライバーが突然の病気になっても暴走しない車を自動車メーカーには開発して欲しい。
悲惨な事故に対応する立場の人間として、心からそう願っている。
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