第442話 友達のいない男

最近、あまり本を読まなくなった。

というのも字があまりにも多いと見るのが面倒だからだ。


で、昨今は漫画に走っている。


「おすすめ漫画」とか、「死ぬまでに読んでほしい漫画10選」だとか。

ネットで調べては読んでみる毎日。


超有名な漫画でも1話目で挫折することは珍しくない。

一方、マイナー漫画をずるずると読んでしまうこともある。


最近では「湯神ゆがみくんには友達がいない」という漫画を読んでいる。

何かのランキングにあったものだ。

そのコメント欄に「取り上げていただいてありがとうございます!」という何とも微妙な反応があった。


中身はこうだ。


野球部のエースではあるものの偏屈へんくつな性格ゆえに友達のいない湯神裕二ゆがみゆうじという高校2年生が主人公。

彼の生活を転校生の綿貫わたぬきちひろという同級生の女子の目線で描いている。

ちなみに綿貫ちひろも友達がほとんどおらず、その事で悩む毎日。

一方、湯神裕二の方は友達がいなくても平気だ。


この漫画を読んでいると自分自身の高校時代の事を思い出す。


オレには彼女はおらず、男の友達ばかり。

もっと言うと、彼女のいない男子が自然に集まっていた。

そして、麻雀するか卓球するかというヤケクソみたいな高校生活。

漫画のストーリーになるような青春要素は1つもなかった。


彼女のいる奴を見ても、無関心をよそおっていた。

イマカノとモトカノが鉢合わせして修羅場しゅらばだった」って聞かされてもコメントできない。

まずはそういったうらやましい修羅場を経験しないと。


卓球部の県大会、上位で戦っている連中を見ては心の中で「いいなあ」と思っていた。

強い人ってのは何かとチヤホヤされるものだ。

「オレもチヤホヤされてえ!」と思いつつ、平気な顔をしてやり過ごす。


勉強の成績は良かったが、最初の大学受験は残念ながら不合格。

オレが1浪している間に現役合格組は楽しいキャンパスライフを送っていたはず。

今になって考えれば予備校ってのは勉強に専念できる素晴らしい環境だ。

でも、当時のオレは焦燥感しょうそうかんさいなまれる毎日だった。


こういった青春の煩悶はんもんというのは多くの人の共通体験のはず。

でも、「高校生あるある漫画」として世に出ているかというと、あまりないような気がする。


こうなったらオレが書いてやるか。

漫画じゃなくて小説だけど。


このシリーズの中に時々エピソードとしてはさんでみようと思う。


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