第386話 続・ゴールドを売る男

最近のきんの売買で感じたことを書き残しておこうと思う。

読者の参考になれば幸いだ。


金が高騰こうとうした。

多くの人が「買っておけば良かった」と口にしている。

が、金の売買には難しい部分もあるということを述べたい。


グラム4,000円が8,000円になったからといって単純に喜ぶのは早い。

たとえば200万円で買った500gの地金じがねが店頭小売価格で400万円になったとしよう。

だからといって200万円の儲けを手にすることができるわけではない。


ちなみに500グラム以下の地金は加工賃が別途かかってくる。

だから500グラムが1単位とオレは考えている。



さて、金の売買には以下の3つの関門が待っている。


第1の関門。


金は売買スプレッドが大きい。

どんな商品でも手数料を取られるので、買うときは高く、売る時は安くなる。

しかし、金はこの差が大きい。

2023年3月20日の某貴金属店の価格を例にあげよう。

1グラムあたり店頭小売価格は9,303円、店頭買取価格は9,183円。

実に120円、つまり約1.3%もの価格差がある。


FXのドル円で考えてみるとどうなるか。

2023年3月21日の1ドルは132.23円とある。

で、某取引所の売買手数料は0.2銭、往復でも0.4銭。

つまり約0.003%だ。

金の売買スプレッドはFXのそれの約433倍。

計算が間違っているのかと思うほどの差がある。


したがって200万円で買った金の地金を店頭小売価格400万円の時に売ったとしても、実際に手にすることができるのは約197万円に過ぎない。



第2の関門。


金には利子がつかない、すなわち利率0%の貯金だ。

200万円で買った金を10年間塩漬しおづけにしていても200万円のまま。

もしこれを年利5%の複利で運用していたら約326万円になっている。

5%複利が非現実的なら、2%単利で計算しても10年後には240万円だ。



第3の関門。


金の儲けには税金がかかる。

長期保有の金を売った場合、50万円以上の利益の半分に税金がかかる。

たとえば200万円で買って店頭小売価格400万円の時に売ったとしよう。

売買スプレッドを考慮した儲けの約197万円から50万円を引いて2で割った約74万円に税金がかかる。

仮に課税される所得金額が1000万円だった場合、税率は33%だ。

だから金の売却益についても約24万円を国に召し上げられる。

さらに住民税10%の約7万3000円を地方自治体にもっていかれる。



あらためて上記3つの関門をトータルで考えてみる。

200万円で買った金を店頭小売価格400万円の時に売ったとして、売買スプレッド、所得税、住民税をくと約166万円。

「ウッシッシ、200万円もうかったわい」と思っていても実際には約166万円しか儲かっていない。

取引所や国や地方自治体が約34万円も持っていくわけだ。


辛くないですか、これ?


儲けの約17%をピンハネされるわけだから、オレは辛い!


株式売買の分離課税が20%なので、それに似た率だともいえる。

そう思って、自分を納得させるしかない。


きんで資産形成を目指すのはどうやら間違っていそうだ。

小遣いができたから美味いもんでも食おう、くらいがちょうどいい。


金を売買しようと思う人は参考にして欲しい。



※上記の計算は素人しろうとがやっているので必ずしも正しいとは限りません。もし間違いがあれば修正するのでコメント欄で教えてください。



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