第378話 マスクを外す男

2023年3月13日、月曜日。

この日から国の方針でマスク着用の義務がなくなった。


とはいえ、医療機関に勤務していると全員がマスクをしている。

そもそも、外してみようかな、みたいな事を言う人間もいない。

万一、マスクをしていない患者がいたら警備員が飛んでくるだろう。


が、妻が出席していた交通系の勉強会はそうでもなかったそうだ。

おっちゃんらが「今日からマスクは着けなくていいんだ、ガッハッハ!」とやっていたらしい。


もちろん妻は終始つけていた。

また家族が罹患したり医療従事者だったりする人はマスクをしていたそうだ。


マスクをするかしないかは個人の判断だ。

政治家や芸能人など、顔が商売道具の人たちにとってはマスクは邪魔だろう。

それはよく分かるし、人によって優先すべき事は違っている。


しかし、単に「国が不要と決めたから着けない」というのはいただけない。

そういう人はもっと頭を使った方がいい。

人の作ったルールと神様のルールが違う事を知っておくべきだ。


国が言おうが誰が言おうが、それはあくまでも人の作ったルールにすぎない。

ウイルスにとっては、そんな事は知ったこっちゃないってわけだ。

あいつらは神様のルールには従うが、人のルールは無視する。


だからオレはマスクをつける。

むしろ、コロナ前までしていなかったのが不思議なくらいだ。


感染性の強いインフルエンザとかノロウイルスとか。

以前はマスクなしで診療していたのだから、今思えば正気の沙汰ではない。


たぶん、今後の人生、職場にいるかぎるマスクをし続けるだろう。

そう考えている医療従事者は多いのではないかと思う。


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