第376話 e-Tax に泣かされる男

毎年、この時期は頭が痛い。

なぜなら確定申告の計算で心身ともに疲れ果ててしまうからだ。


そもそも医師ってのは副業が多い。

外勤がいきんなどと呼んでいるが、実態はアルバイトだ。

定期的なものもあればスポットもある。

講演会の講師や消防学校の授業なんかも副業には違いない。


確定申告の時にはこれらバイト先からの源泉徴収票をまとめることになる。

面倒なのでオレ自身はほとんどアルバイトをしていない。

が、数えてみたら源泉徴収票が11枚もあった。

お金を貰うときは嬉しいが、確定申告の計算は限りなく面倒だ。


ふるさと納税も同じ構造になっている。

返礼品を選ぶときは楽しいが寄附金受領証明書の入力は頭が痛い。


妻の確定申告もオレが一緒にやっているので大変な労力になる。

試しに2人分の源泉徴収票と寄附金受領証明書の枚数を数えてみた。

なんと、81枚にもなった。


これを全部入力するのか!


皆、こんな面倒なことをやっているのかな?


それだけではない。

別の小説「頭と尻尾はくれてやれ」で述べたが、オレは有事に備えて若い頃からきん・プラチナ積立をやってきた。

そして今まさに有事、ウクライナ戦争のせいで去年から金の価格が暴騰ぼうとうしている。

だから少しずつ売った。


確定申告の時には譲渡所得の内訳書うちわけしょを作成しなくてはならない。

そこには売却理由を書く欄があり、次の5つの中から選べ、とある。

 買主から頼まれたため

 他の資産を購入するため

 事業資金を捻出するため

 借入金を返済するため

 その他

これ、「価格が上がったから売りました」とか「生活資金にてます」ではイカンの?


さらにきん・プラチナの購入年月日も書かなくてはならない。

たとえば某月某日に100グラム売ったとして、その購入は何時いつかってこと。


そんなもの分かるわけがない。

毎日コツコツと0.0何グラムずつ買っているんだから。


しかもドル・コスト平均法ゆえ、購入重量は毎日微妙に違っている。

でも、国税庁に逆らうわけにはいかない。

だから計算しましたよ、それらしい年月日を。


正確には某月某日に購入したというわけではない。

2011年2月1日から3月3日にかけて購入したものを2022年10月5日にまとめて売りました、という形になる。

こういった場合、購入年月日には幅があるわけだが、最後の日付をとって2011年3月3日購入とした。

これも売るときは楽しいが、申告は途方とほうもなく面倒だ。



というわけで国税庁御自慢の e-Tax イータックスを使ってひたすら入力して計算した。


ジャジャーン!


なんと、「納める税金」がウン十万円にもなってしまった。

すでに源泉徴収と予定納税でウン百万円とられている上に、この仕打ちかい!


もうね、あまりに現実離れした数字に笑うばかりだ。


今は忙しすぎて節税なんか考える余裕がない。

でも、時間ができたら税金を減らす工夫をしてみるか。


ちなみに妻の方は数万円の還付かんぷがあるので大喜びしている。


トータルで見ればの確定申告は大赤字なんだけど……


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