私自身は気管切開を「術者」としてしたことがなく、恐ろしくて自分ですることはありません。ミニトラックくらいなら何とかなりますが。
私に気管切開術を教えてくださった先輩は、ICUで、セルジンガー法ではなく、ポータブルの無影灯下で、私を助手につけて指導してくださいました。
甲状腺が邪魔になるときは、峡部で切除し、両端を縫合止血しておられました。気管に到着すると「先生、ここからは電気メス、絶対に使ったらあかんで。理由は言わんでも分かるやろ」と言ってスピッツメスで気管を逆U字に切開し、気切チューブを挿入されていたことを覚えています。
先輩は形成外科医、消化器外科医を経て総合診療の世界に入られたので、しっかりした「外科」のベースをお持ちなのですが、私はpureな内科医でビビりなので、せっかく3回ほど、助手につかせてもらい、丁寧に指導してくださったにもかかわらず、手技を行なわないまま、今に至ります。
作者からの返信
「電気メス、絶対に使ったらあかん」という言葉は重いですね。
高濃度酸素下では電気メスの火花が挿管チューブに引火するからですが、私は1例だけ耳にした事があります。
幸い救命することはできたそうですが、気道関係にはドラマが尽きません。
頚動脈を切ってしまうって、想像するだけでも恐ろしいとわかります。それでも最悪の事態に至らずに済んだこともすごいです…。
作者からの返信
目の前で起こった事なんですが、術野が血の海になってまさに悪夢でした。
結果的には大事に至らずに済んで良かったです。
でも、術者はしばらく精神的ダメージにやられていました。