第358話 テンション爆上がりの女

脳外科外来の休憩スペースで看護師や医師事務の人たちと雑談をする事がある。

彼女らは主婦だが、オレも家事が好きなので、案外、話が合う。


今回は近所の店の話だ。


実はオレの自宅から車で10分のところに野菜直販所がある。

隣県から直送されてきた新鮮で安い野菜が大量に売られているのだ。

150台の駐車場が一杯になるほどの人が詰めかけてどんどん売れる。


知る人ぞ知る直販所で、主婦には大人気。

オレも土曜や日曜に野菜や果物、そして米を買い出しに行く。


医師事務の女性に教えてあげたら毎週のように行くようになった。


「あそこはいいですね。その場で精米してくれる米も美味おいしいし」

「そうそう。ブランドまいにも勝っているんじゃないかな」


そこに看護師が参加してきた。


「それ、どこにあるんですか?」

「〇〇インターの近所だよ。君のところから車で30分くらいかな」

「そうみたいですね、行ってみます!」

「もう主婦としてのテンション、爆上がり?」

「やっぱり野菜が新鮮とか安いとか聞いたら行きたくなるでしょう」

「季節ごとの果物も大量に売っているから。今ならイチゴかな」

「行く、行く! 主人も子供もイチゴが大好きなんですよ」


主婦の情報交換ってのは大切だと思う。

ふるさと納税だとか親戚付き合いだとか。

あと、手抜きの方法も。


「直販所には、ちらし寿司なんかも売っていて、それで1食は間に合わせることができるよ」

「私、食事を考えるのが面倒なんで、そういうのがあったら助かります」

「手作り感たっぷりなんで、買ってきて並べましたって気がしないから」


家事ってのは大切ないとなみだ。

オレは結構、楽しんでやっている。

食器を洗ったりアイロンをかけたり洗濯物を畳んだり。


高次脳機能障害の男性患者にも家事をすすめる事が多い。

奥さんは助かるし自分のリハビリにもなるから一石二鳥だ。

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