第354話 幸福を追求する男 2

前回、幸福の要素の1つは把握感だと述べた。


確かに、身の回りの色々な事を把握していると気持ちいい。

一方、理解できていない事が沢山あると疲れる。


たとえば、机の上に散らかった未開封の郵便物。

どれが大切で、どれが大切でないのか。

さっぱり分からなければ不安しかない。



さて、把握感の次はコントロール感だ。


自分の生活をコントロールできていれば心地よく感じることができる。

一方、自分が10分後に何をやっているか分からないというのは辛い。

脳外科のレジデントをしていた時の自分がまさしくそうだった。

そのような生活は幸福感を奪うだけでなく、健康も削ってしまう。

ついには大病をわずらって数年間、前線から離脱する羽目になった。


今でも次々に書類仕事が降って来る状態だと結構きつい。

仕事量をコントロールする事ができないからだ。


逆に休日出勤はさほど苦にならない。

いつ始めようがめようが勝手だからコントロール感全開だ。

でも患者の急変で呼び出されると一気にコントロールを失ってしまう。



幸福の要素、あと2つは達成感と成長感だと思う。


困難な手術をうまくやり終えたときの達成感は格別だ。

いや、普通の手術でも大過たいかなく終わらせることができたら嬉しい。


同じような事は手術以外の場面でも色々あるに違いない。

たとえば山積みの書類仕事を片付けたら小さな達成感がある。



また、自分が成長しているという感覚も幸福に直結する。

勉強して今まで知らなかった病気を理解するのは幸せな事だ。

現世御利益がなくてもTOEICを受けるのはそんな人たちだろう。

点数が上がることによって自分の成長を実感できる。

他の受験生からは「なんだ、あのオッサンは?」という目で見られるそうだけど。



ということでオレの考える幸せの4要素をまとめたい。


把握感

コントロール感

達成感

成長感


この4つだ。


これらを実現するためには必ずしも金持ちにならなくてもいい。

そして、他人と比較する必要もない。


各自それぞれのやり方で追及するのがいいのだと思う。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る