第311話 外来診療が怖くなった女
新年最初の通常診療日。
ウチは4部屋使って発熱外来をやっている。
その日だけで20~30人ほどに対応した。
で、全員がコロナかインフルのどちらかだった!!
担当医や応援の開業医が口々に言う。
「しばらくはカンファレンスをやめておきましょう」
「もう私、明日からのクリニックの診療が怖くなってきました」
すでに新型コロナは第8波に入っている。
この流行の原因は何処にあるのか?
新たなウイルスの感染性が強いのか。
それとも人々に行動制限がかかっていない事が問題なのか。
おそらくは後者の影響が大きいのだと思う。
というのは、2020年にはほとんど見られなかったインフルが多数みられるからだ。
人々が厳重に感染対策をしていた時にはインフルは殆ど見られなかった。
が、今は感染に対する警戒心が緩んでしまっている。
だからコロナだけでなく、インフルにまで入り込まれているのだ。
で、翌日の事。
クリニックでの診療が怖くなってきたと言っていた開業医からラインが来た。
なんと、外来でコロナの検査をした15人のうち13人が陽性に出たのだとか。
15人中13人!!
さらに日中に捌ききれなかった人達が15人、夜間に来るという。
「医療崩壊秒読みです」とラインのメッセージが結ばれていた。
一方、当院もコロナ病床が一杯になっている。
22軒の医療機関に断られたという発熱患者から問い合わせがあった。
残念ながら当院は23軒目にならざるを得ない状況だ。
ERを覗きに行ったら、担当者に「先生、危ないから入らないで!」と言われた。
念のために調べたノーマークの患者2名が陽性だったというのがその理由。
気づいたら脳外科外来の看護師が2名ともコロナで休んでいる。
もうこの世の出来事とは思えなくなってきた。
1つ言えることは、我々医療従事者も一般人も、あらためて感染対策を徹底すべし、という事だ。
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