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私の師匠にも同様の逸話があります。
私が後期研修医のころ、とある月曜日の朝、回診後のカルテを書いていると師匠が「先生、悪いけど、腹部CT、腹部エコー、上部消化管内視鏡のオーダーを出してくれないか?」
「先生、どうされましたか?」
「今朝からひどく心窩部が痛むんだ」とのこと。すぐに私がオーダーを立て、師匠は検査に向かわれました。
しばらくして師匠が医局に戻ってこられ、私の横のPCで検査結果を確認していました。
「これかよ~。5年前にはなかったぜ」
上腹部痛の原因は胆石疝痛発作。外科に相談し、翌日の最終枠で腹腔鏡下胆摘術となりました。
ところが月曜午後と、火曜終日、師匠の外来がありました。痛みが強いため、月曜午後の外来は呼吸器内科No.2の先生が、火曜日は師匠が絶飲食、点滴下で外来をすることになりました。
月曜午後の外来を肩代わりした先生は、「いつもあんなに濃い患者さんたちを診ているのですか?」と驚いていました。
火曜日は患者さんが「先生、大丈夫ですか?」と白衣の下から点滴チューブが延びている師匠の姿を見て驚いていたそうです。
ちなみに胆摘は無事成功。金曜日に退院されました。
作者からの返信
大変な事ですね。
我々が診療することができるのは、少なくとも自分は健康であるということが前提なのですが、それも怪しくなってきました。
病人が病人を治療、老人が老人を介護、という事が普通になったのかもしれません。
手術中の会話が思わず笑ってしまいました。めちゃくちゃ大変そうな現状なのに。でも、それを生業としている先生が、自分の身を削って治療されているのは、そんなのもリアルなんでしょうか。心痛みました。
作者からの返信
コメントありがとうございました。
めちゃくちゃ大変ではありますが、そこをギャグで乗り越えるわけです。
何事も表現ひとつですね。
忙野先生にはまた登場してもらいましょう。
なお、すべてフィクションということで一つよろしくお願いします。