第127話 自己嫌悪を重ねる男
何故か昨日はカクヨムに2つも投稿してしまった。
オレが操作ミスをしたのかもしれない。
気を取り直して毎日1つの投稿を続けよう。
さて、打ち合わせに出席するのをすっかり忘れていて自己嫌悪に陥った話は以前にした。
今日たまたま当該打ち合わせを招集した副院長に出くわしたので欠席のことを謝った。
「こないだは打ち合わせに出るのを忘れていて、すみませんでした」
「はて……? ああ、あの時の打ち合わせか!」
「いやあ、もう自己嫌悪です」
「御心配なく。僕なんか毎日何か1つは忘れていますよ」
なんだ副院長先生も毎日忘れるのか。
それならオレの失念なんか可愛いものだ。
そう思っていたら、とんでもない間違いだということが判明した。
というのも部屋に戻ったオレに内科の医師からメールが来ていたのだ。
とある患者にオレが電話することになっていたのが、待てど暮らせど連絡がないとのこと。
はあ?
いったい何の事でしょう。
そう思って電子カルテを開けてみた。
カルテの個人メモ欄に携帯電話の番号が書いてある。
なんだか嫌な予感がした。
つづいて中を見ると確かにオレが3ヶ月前に診察していた。
中身は全く覚えていないが、いかにもオレが言いそうな事が書いてある。
「こんど赴任してきた先生が麻薬性鎮痛薬が効果的かもしれない、と言っておられるので、準備ができたら連絡します」
なんか調子のいい記載があった。
どうやら約束した事を完全に忘れていたみたいだ。
というか、記載内容を見ても思い出さない。
なんせ3ヶ月も前のことだ。
人と約束をするのはいいが、その事を思い出すシステムも同時に仕掛けておかなくてはならない。
さもなくば、記憶の海の底に沈んでしまう。
残念なことに年を取るほど覚える事が増え、逆に記憶力が落ちていく。
些細としか思えない理由で引退した名医たちの気持ちが、今になって理解できる。
自分の設定した合格ラインに達していなければ第一線から退くべし。
たとえ他人から見て名医であっても、自分で合格と思えなければ耐えられないんだろうな。
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