第126話 結論を言ってもらえない男

プレゼンテーションというのが日本の義務教育にあったらいいのに、とよく思う。


オレは雑談が苦手だ。

とはいえ、業務上のやり取りを避けることはできない。

だからコミュニケーションを取るよう努力している。


ところが……


雑談好きな多くの人が、業務連絡になった途端、さっぱり出来ない。

プレゼンテーション技術の欠如だ。


「結論が先、根拠は後」

「訊かれた事に答えろ」


何度これを言ってもできない。

研修医や職員相手にもう100回は注意した。


オレたちの仕事では業務連絡の途中に割り込みが入ることがいくらでもある。

たとえば病棟で患者が急変したとか。

そういう割り込みは後回しにすることができない。


すぐにコードブルー、近くにいる者が駆けつけて蘇生開始。

何しろ瞳孔が開くまで40秒、戻らなくなるまでたったの4分だ。


だからどこで分断されてもいいような業務連絡が求められる。

まず結論。その根拠。その背景。


にもかかわらず、逆の順に話す人間が多すぎる。

いつになったら結論を聞かせてもらえるんだ!


その点、テレビのワイドショーは参考になる。

コメンテーターは長話をしない。

話を振られたら瞬間的に1言、2言のコメントを挟む。


このテンポだよ、このテンポ。


何で家にテレビのないオレがワイドショーから学んでいるのか。

いつもテレビを見ている人たちが何故できないんだ。


義務教育にプレゼンテーション技術を入れてくれ!

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