第72話 診療に漫画を活用する男

高次脳機能障害の話は以前にもした。


再度、あらましを述べる。

彼氏に殴る蹴るの暴行を受けて高次脳機能障害になった女性。

記憶障害や注意障害だけでなく、感情面でブレーキが効きにくくなり、逆に彼氏に暴行してしまった、という話だ。


さて、高次脳機能障害は頭部外傷だけでなく脳卒中でも起こることがある。

脳卒中というのは脳出血や脳梗塞、くも膜下出血など複数の病気の総称だ。


典型的な症状は、左手足など体の半分が動かなくなる片麻痺へんまひといわれるもの。

時には高次脳機能障害も起こることがある。


記憶力が悪くなったり、トンチンカンな行動をしたり。

急に泣いたり笑ったり、道に迷ったり。

なんといっても生活のあらゆる場面で段取りが悪くなる。


しかし、患者や家族にそういう話をしても通じない。

というか、そもそも想像ができない。


だからオレは漫画を読むことを勧めている。

その名も「日々コウジ中」というものだ。


御主人がくも膜下出血で倒れた奥さんの話。

たまたま漫画家だった奥さんが、その体験を漫画にした。


これが実にリアルで笑える。

当事者のみが知るエピソードが満載だ。

だから高次脳機能障害が懸念けねんされる患者の家族にはピッタリ。


オレが説明するよりも漫画の方がよっぽど頭に入ってくるみたいだ。

ただ、この漫画にえがかれている高次脳機能障害はかなり重症だ。


障害は人によって様々さまざま

ほとんど高次脳機能障害が出ない人も沢山いる。

そういう人は、この「日々コウジ中」を読んでもピンとこない。


ま、それぞれの人に応じた支援が必要だってことだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る