第49話 病気が出たり消えたりする男
病気が出たり消えたりする、というのは結構あるあるだ。
オレがいつも経験するのはてんかんの患者。
発作が頻繁に起こるようなら自動車運転免許証を返納しなくてはならない。
だから、免許証更新の時期になると「発作は起こっていません」という。
ウソかマコトかは本人しか分からない。
しかし障害年金の診断書作成の時期になると話が変わる。
発作がなかったら年金が止まってしまう。
だから、「実は発作が時々起こっているんです」という話になる。
かくして病気が出たり消えたりする。
障害年金更新の時期には発作が出て、免許更新の時期には発作が消える。
そりゃホントかね?
以前、こんな患者がいた。
処方した薬がよく効いてコントロール良好、発作が出なくなったのだ。
そのことを正直に診断書に書いたら、年金が止まってしまった。
それでオレが散々非難された。
病気が治ったんだから感謝してくれ、とは言わない。
せめてオレに文句を言うのは勘弁して欲しい。
過去に1人だけ障害年金が止まってもいい、という患者がいた。
「自分は薬のお陰で発作が止まりました。そのことには大変感謝しています。病気が治って年金が止まるのならそれでもいいです」
そう言ったのだ。
当たり前の事ではあるが、なんと潔い!
若い女性だった。
まだまだ日本人も捨てたもんじゃない。
人ってのはこうあるべきだと思う。
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