第38話 手羽先〇〇の異名を持つ男

 たまには時事ネタを扱おう。


 現在、某市民病院が大変なことになっている。

 パワハラを理由に外科系の医師19人が退職することになった。

 このままでは病院機能が維持できない。

 結局、責任をとって院長が辞任することになった。


 後任は××病院の〇〇先生なのだそうだ。


 〇〇先生といえば「手羽先てばさきの〇〇」として有名だ。


 スーパーなんかで4本250円ほどで売っている手羽先を使った血管吻合けっかんふんごうトレーニングを考案し、その方法を詳述した論文が有名医学ジャーナルに掲載された。

 手羽先の皮を切るとその直下に直径1ミリほどの動脈がある。

 これを剥離はくりして端々吻合たんたんふんごう端側吻合たんそくふんごうなど、あらゆるバリエーションで顕微鏡手術の練習をするのだ。

 直径1ミリの血管に8~12針ほどの縫合を行うわけだから繊細な操作が要求される。

 オレも手羽先を使って練習したが、その数は100本や200本ではきかないだろう。


 この方法のいいところは練習材料をスーパーに求めたところだ。

 本来、血管吻合の練習は全身麻酔のラットを用いて行うものだが、手間も費用も大変なことになる。

 その点、4本で250円、全身麻酔不要の手羽先はいいことづくめだ。


 手術の名手として知られる「手羽先の〇〇」が、果たして病院経営にどのような手腕を発揮するのか。


 今後のニュースが楽しみだ。


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