第七幕 欧州出兵編~北海に吹き荒れる嵐~
第一七三話 艦隊抜錨!
現在、2月13日、07時30分、ヤーデ湾。
「全艦艇、抜錨!」
すべての艦に、俺の声が響く。
その声に合わせて、『大和』が大きく汽笛を鳴らし、それと同時に一隻ずつ艦たちが港を出港していく。
港を出たら、艦隊を編成し、整える。
「こんな大艦隊を、18才の子供が指揮することになるとは……」
俺はため息をつく。
随分と重い責任を押し付けられたものだ……。
「ため息つかないの、もっと自信持ちなよ」
無理。
「本来俺は、そんなに目立つことはしたくないんだよ」
「の割には、テレビでは随分饒舌だったけど?」
「お前、俺がテレビに出ている時、演習してなかったか?」
『大和』の演習のタイミングに合わせて生放送していたわけだから、見れないはずなのだが。
「空が録画しといてくれたから、後で見た」
あの野郎余計なことを……。
俺はため息をつきながら、艦長席に座る。
「まあいい、任された以上、仕事は果たす」
俺は士官帽を被り直し、艦橋の窓から水平線を睨む。
「大和、行くぞ」
「うん」
そう言うと、巨艦の後部につく、四つのスクリューが回転を始めたのか、ゆっくりと動き始めた。
しばらくすると水路を抜け、小型艦艇が錨を下ろしていた、人口島が大きく見えてくる、そこからは量産の駆逐艦と現代艦たちが出港してくる。
「あ、『雪風』に『矢矧』……」
その中には、大和を最後まで護衛し続けた、駆逐艦『雪風』や、軽巡『矢矧』の姿も見られ、大和の目が一瞬だけ揺らいだ。
「今度は、目的地までしっかりたどり着かないとな」
俺は大和に、そう投げかける。
「それだけじゃだめ、しっかり帰ってこないと」
俺は小さく笑い、同意する。
「そうだな、仕事をしっかり果たして、母港に返ろう、ドイツのヤーデ湾じゃなくて、日本の呉湾に」
「うん! 私はやるよ、見ててね、皆!」
その思いが伝わったのか、大和の護衛を務める小型艦たちが、音の高い汽笛を上げた。
そんな状況に可笑しくなり、俺と大和は目を合わせ、口を綻ばせていた。
艦隊詳細
母港防衛砲戦艦隊 指揮官 ウェルト・ヘンリー 少将
旗艦 戦艦『グナイゼナウ』 戦艦『ティルピッツ』
重巡洋艦『アドミラル・ヒッパー』 重巡洋艦『アドミラル・グラーフ・シュペー』 駆逐艦『Ⅽ型』 フリゲート『ミュンヘン』
母港防衛独立艦隊 指揮官 マイン・トルク 大佐
旗艦 軽巡洋艦『ケーニヒ・スベルク』 駆逐艦『Z26』 駆逐艦『Z33』
駆逐艦『Ⅽ型』 駆逐艦『B型』 駆逐艦『Ⅽ型』 フリゲート『エアフルト』
第一主力艦隊 指揮官 彭城幸季
前衛
旗艦 戦艦『長門』 戦艦『陸奥』 戦艦『扶桑』 重巡洋艦『妙高』
防空駆逐艦『秋月』 駆逐艦『時雨』
後衛
護衛空母『しょうほう』 量産駆逐艦『A型』 量産駆逐艦『A型』
量産駆逐艦『B型』 イージス戦艦『はれ』 駆逐艦『A型』
第二主力艦隊 指揮官 有馬勇儀
前衛
旗艦 戦艦『大和』 戦艦『武蔵』 戦艦『アイオワ』 軽巡洋艦『矢矧』
駆逐艦『雪風』 駆逐艦『B型』
後衛
装甲空母『瑞鶴』 航空母艦『エンタープライズ』 護衛空母『いずも』
防空駆逐艦『初月』 量産護衛艦『A型』 量産護衛艦『B型』
独立先行艦隊 指揮官 ビスマルク
旗艦 戦艦『ビスマルク』 重巡洋艦『プリンツ・オイゲン』
航空母艦『グラーフ・ツェッペリン』 フリゲート『ザクセン』
フリゲート『ハンブルク』 クルーザー『ベルリン』 クルーザー『ドルトムント』
駆逐艦『レーベレヒト・マース』 駆逐艦『Z23』 駆逐艦『Z31』
駆逐艦『Z32』
航空機動艦隊 指揮官 浅間信二
旗艦 航空母艦『赤城』 航空母艦『加賀』 航空母艦『蒼龍』 航空母艦『飛龍』
防空巡洋艦『古鷹』 駆逐艦『A型』 駆逐艦『A型』 駆逐艦『A型』
駆逐艦『A型』 駆逐艦『B型』 駆逐艦『B型』
水雷前衛戦隊 指揮官 有馬勇儀
旗艦 軽巡洋艦『阿武隈』 重雷装巡洋艦『北上』 駆逐艦『吹雪』
駆逐艦『夕立』 駆逐艦『陽炎』 駆逐艦『綾波』 駆逐艦『夕雲』 駆逐艦『響』 駆逐艦『朝潮』
特殊遊撃独立艦隊 指揮官 明野沙織
旗艦 攻撃用イージス戦艦『やまと』 イージス戦艦『あめ』
正規空母『しろわし』 潜水艦『せいりゅう』 潜水艦『おうりゅう』
潜水艦『しょうりゅう』 潜水艦『じんりゅう』
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