第一三〇話 学生ライフ?
現在、12時30、昼休み。
「さて……」
俺は昼休憩の時間を使って、あることを行うように海軍の関係者に頼まれている。
それを行うために俺は屋上に上がっていた。
「これを簡単に盗み出せるんだから空はすげーよ」
屋上のカギは、前日に空が盗み出してくれたのだ、それを軍でコピーして、本物を戻し、コピーを俺の手に渡した。
「……完了っと」
俺は軍に手渡されたよくわからない黒っぽい箱を、学校の屋上で起動させた、これの効果はまだ知らないが、長官が言うには、この先重要な物らしい。
そして俺はもう一つ、持ってきてはいけないものを持ってきている。
「本当に必要かなぁ……」
懐に忍ばせている『FNファイブセブン』だ、之も長官が持っておけというからガンケースから開けて持ってきている。
「後は、この変な機械を隠してっと」
そう言って黒っぽい箱を、誰にも見つからなさそうな場所に隠す。
「……空の様子が心配だな」
まだ時間はある、二組の様子でも見てくるか……。
ああめんどくさい。
「なあなあ、放課後一緒に遊ぼうぜ」
「いや、結構ですから」
吹雪も絡まれてる、あっちもあっちで大変そうだなぁ。
「ねね、放課後さ、俺の家来いよ、この学校の事教えてやるからさ」
「結構、放課後は用事あるから」
私もこいつの相手するのそろそろ疲れたから手出していいかな?
「ちょっと、須田、久保、何やってるの⁉ 転校生の二人困ってるでしょ」
「はいはい、すいませんね委員長」
「悪いって、そう怒んなよ、三浦」
三浦……ああ、風紀委員長か。
前情報で知っている、三浦光、この学校の風紀委員で、規則に厳しく、特に男嫌いなのか、男子生徒への対応は特に厳しい。
「大丈夫ですか? 彭城さん、浅間さん」
そう言って彼女は私たちに視線を送る。
「うん、ありがとう」
「こっちも助かったわ、あの生徒達っていつもあんな感じなの?」
吹雪が尋ねる。
三浦さんはため息をつきながら答える。
「そう、いつも女の子に声かけてばかり、でも顔はそれなりだし、運動もできるからモテるのよねぇ」
あんな男がモテるのか……百万倍有馬のがかっこいいのに。
そんな風に思いながら、私はあくびをし、髪を後ろに回す。
「あ、そうそう、彭城さん、その髪の長さ、校則違反です、できれば切ってきてください、それができないなら、どうにか短く纏めてきてください」
今の私の髪の毛は真っ黒だから色では校則に引っかからなかったが、長さがアウトの用だ。
「縛り方は、この学校自由なの?」
「そうですよ、前年度の生徒会長が訴えて、縛り方自由になったんです、あまりにも派手すぎるのはダメですけど」
ふーん、そうゆうものか。
「ねえ三浦さん、その喋り方堅苦しくない? もっと崩して喋っていいよ? 私達も丁寧な言葉使わないし」
吹雪がそう言って私の肩に手を乗せる。
「そう……解った、じゃあこれからは吹雪ちゃん、空ちゃんって呼ぶけど、良い?」
三浦さんはそう言って微笑みかける、それなりに顔立ちは整っているようだ。
「良いよ、私も、光って呼ぶ」
「私も~」
そう私と吹雪が言うと、光は大きくうなずき、笑みを浮かべた。
「おーい、空、吹雪、いるか~」
私はその声にいち早く反応し、教室の扉に駆ける。
「あり……じゃなかった、お兄ちゃん、どうしたの?」
設定上、私と有馬は兄妹ということになっている、だから、学校ではお兄ちゃん呼びだ。
「いや、お前らの様子を見に来ようと思ってな」
「早速お兄ちゃん面してるねぇ、彭城勇儀君?」
吹雪が後からきて、有馬を茶化す、そんな私たちを光は遠くから見つめていた。
そんな光を不憫に思ったのか、吹雪が光に手招きして、こちらに来るように言うと、光は少しおどおどしながらこちらに来た。
「どうも初めまして、彭城勇儀です、吹雪の親戚で空の兄です、この二人のこと、よろしくお願いします」
「あ、どうも初めまして、三浦光です」
そう、二人は軽い挨拶を交わす。
「えっと、その……失礼しますね」
そう言って光はそそくさとその場を立ち去った。
「あの子、どうしたんだ?」
有馬が私に尋ねるが、私も首を捻る。
「さあ、さっき私達と友達になってくれたんだけど……そう言えば男が苦手なんだっけ?」
「そんな情報あったね」
そんな会話を、俺と空は交わしていた。
「まあいいや、あんまり人様に迷惑かけるなよ、情報漏らすなよ、暴力振るうなよ、特に空、お前が一般人に手を出したら死ぬからな?」
空は苦笑いしながら頭をかく。
本当に大丈夫なんだろうな?
「それじゃ、次俺科学だから圭と一緒に移動するけど……」
俺はもう一度二人に釘を打つ。
「下手な真似するなよ」
「「了解」」
現在、16時30分、部活動
「なあ、俺達って部活動入らなきゃいけないのか?」
「さあ、どうなんでしょうね……二カ月しかいないのにやる必用あるんでしょうか?」
俺と圭がそうぼやく、その隣で空と吹雪もこそこそと何かしゃべっている、大方同じようなことを言っているのだと思うが。
「ねえ、なんで空手部を見学することにしたの?」
吹雪が俺に聞いてくる。
そんなのお前が一番よく知ってるだろうに。
「お前が空手強いの知ってるからだよ」
「私、部活やる気ないよ?」
吹雪は小学生の時から空手を始め、高学年の頃は、全国で戦えるほど強かったらしい、特に組手は、だが中学一年の時に大会に出るのをやめたらしい。
理由は知らないがな。
「皆さんも、ご一緒にどうですか?」
空手部の部長、佐藤渉が笑顔でこちらにやって来るので、俺は吹雪の背中を押す。
「吹雪は経験者なんですよ、彼女の組手、見てあげてくれませんか?」
「ちょっと、有馬⁉」
俺がそう言うと、吹雪が下がろうとするが、部長は目を光らせて。
「本当ですか⁉ おい西田! 組み手の準備!」
「オッス」
どうやら部長は本気で吹雪の組み手を拝見したいらしい、組手の会場づくりをさせ始めた。
「行ってこい吹雪、たまにはエンジンだけでなく人とにらめっこしてこい」
俺がそう言うとあきらめて、部長が差し出した拳サポーターを手に巻き付ける、胴体のプロテクターと頭のヘッドギアも差し出すが、吹雪はそれをつけるのを拒んだ。
当たらない自身があるのか、はたまた臭いからつけたくないだけなのか。
「西田、相手してやれ」
「オッス」
さっきから呼ばれている西田という男は、白帯を締め、まだ初々しい感じが抜けていない、初心者なのだろう。
そんなことを考えている内に、試合の準備が終了した。
吹雪は体操着のままで、マットの上に立つ、両者が向き合い、準備が完了すると、部長が掛け声をかける。
「それでは六点先取り、勝負、始め!」
その瞬間、目にもとまらぬ速さで吹雪の足が動き、勝負の姿勢をとった直後に後ろ足で蹴りを繰り出す。
そのけりは見事に西田のヘッドギアを直撃し、バツンと音を立てる、それと同時に吹雪の気合が道場を包んだ。
「えやあぁ!」
「やめ!」
それと同時に審判役の部長が止めをかけ、両者最初の位置に戻る。
「赤、上段蹴り、一本!」
赤は吹雪、白は西田だ。
吹雪は開始二秒で一本、すなわち三点を先取した、後三点取れば吹雪の勝ちだ。
「吹雪の実力は本物だったな」
「そうみたいですね、きれいな上段回し蹴りです」
空はじっと食い入るように見つめている。
「続けて始め!」
部長が再開の合図を入れると、今度の吹雪は、素早く一歩下がった。
その直後、西田が攻撃範囲の広い、上段刻み突きを放つが、吹雪は下がっていたため、それを見事にかわし、前足の上段回し蹴りで反撃に出る。
今度の蹴りは、西田が手で受け止める。
しかし、それを読んでいたのか、吹雪は蹴りを放った前足を、西田の体から少し離れた場所に下ろし、体の重心をずらし、後ろ足で裏回し蹴りを放つ。
直後、部長が止めをかけた。
「や、止め! 赤、上段蹴り一本、そこまで! 赤の勝ち!」
その瞬間、道場で大きな歓声ががる。
「凄い、凄いですよ吹雪さん!」
部長は興奮した様子で吹雪に駆け寄る。
「貴方の実力なら関東、いや全国も目指せると思います!」
俺と二人は、そんな光景をほのぼのと見つめていた。
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