俺は二刀流

高身長、高学歴、高収入、全てにおいて人並み以上の俺。

当然、女に困ったこともない。

今だって容姿、学歴、性格完璧の彼女がいる。

ただ一つ物足りないもの。手料理である。

焼き加減も味の濃さも毎回極端でお世辞にも美味しいとは言えない。

もっと愛情のこもった手料理が食べたい。


「今晩は何食べる?仕事も休みだし、カレーライスでも作ろうかな?」

「いやいや、休みだからこそゆっくりしたらいいよ、今日近所に新しくできたイタリアンでも食べに行かないか?」

「うーん、それもそうね、あそこのパスタ美味しいって聞くし!」


翌朝、たまの休みだ、彼女が仕事に行くのを見送ってからもう一度ベッドに入った。

ピロン。

「今日は新プロジェクトの会議があるから帰り遅くなりそう」

彼女からだ。

そうか、今日は遅いのか…



「いいんですか、彼女さんに内緒でうちなんかに遊びに来て?」

「いいんだ、彼女は会議で遅くなるって言ってるし、何より俺のことちっとも疑ってないからな。それに、君の手料理は最高だし。俺、こう見えて結構器用なんだ、彼女の恋人、後輩との浮気の二刀流ってとこかな。」

「ふふ、先輩がいいなら私はいくらでも料理振る舞うわ。それに、先輩なら三刀流もいけちゃうんじゃない?」

「…三刀流かぁ、ありかもしれないな、なんてな。」

「そしたら私、嫉妬しちゃう。」


男は自信に溢れた表情で愉快な冗談と手料理に満たされていく。


今頃彼女がどこで何をしているかなんて知る由もないままに…

彼女と後輩、二人の女の中で自分のプライドと欲求を満たしていくのであった。

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類は恋人を呼ぶ 甘夏 @new-world

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