「おばあちゃんの、おとぎばなし」

進藤 進

「おばあちゃんの、おとぎばなし」

イメージイラストがあります。

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https://kakuyomu.jp/users/0035toto/news/16817139556277216802


※※※※※※※※※※※※※※※


ポカ、ポカ、はるのひざしがえんがわにさしこんできます。


コツ、コツとにわとりが、えさをついばんで、あるきまわっています。


チュン、チュンとすずめたちが、そのまわりでさえずっています。


チク、チクとおばあちゃんは、ぬいものをしています。


はなこちゃんが、いきをきらしてかけてきました。


「ただいま-、おばあちゃん」


そういうと、いどのポンプのとってをガシャガシャとこいで、みずをだします。


つめたくて、おいしいみずをゴクゴクとのみました。


「おいし-・・・

おばあちゃん、おなかすいたー」 


「はいはい、じゃあオヤツにしようかね」 


そして、しろいこながふいている、ほしいもを、はなこちゃんにあげました。


はなこちゃんは4さいです。


ほしいもも、おばあちゃんもだいすきです。 


たべおわると、おばあちゃんにいいました。 


「ねえ、また、おはなししてぇ」


「あ-、い-よ。

じゃあ、また、そこのタンポポをとっておいで」


はなこちゃんは、にわのすみにあるタンポポを2ほんとってきました。


タンポポは、はなが、ちって、わたぼうしになっています。


「きょうは、なんのおはなし?」


「それは、これからのおたのしみ。

じゃ-、いくよ。

いいかい?」


そして、ふたりどうじに、いきをふきかけて、タンポポのタネをとばしました。


しろいふわふわしたタネがひろがる、と、ふしぎなことに。


ふたりは、そらをとんでいました。


「むかし、むかし、あるところに、おしろがありました。

みえるかい・・・?」


「うん、みえるぅ・・・」


「そこのおとのさまと、おくがたさまはケンカばかりしていました。なんでも、はじめはクチゲンカぐらいだったのに、いまでは、けらいや、くにじゅうのひとたちが、ふたつにわかれてセンソウになりそうなのです・・・」


「え-、センソウってなぁに・・・?」


「ほら、みてごらん。

みんなよろいをきて、ゆみとか、もってるだろぉ?」


「ほんとだ。みんな、こわいかお。

あっ、ちっちゃいこが、いるよ・・・」


はなこちゃんがゆびをさすと、おしろのひろい、にわのかたすみで、かわいいおんなのこが、ひとりでないていました。


ふたりはそこに、こっそりおりていきました。 


「ねえ、どうして、ないてるの?」

はなこちゃんがきくと、おんなのこはなみだをふいて、いいました。


「ちちうえと、ははうえが、

ケンカばかりしてるの・・・」


はなこちゃんは、おんなのこがかわいそうになって、おばあちゃんをみました。

おばあちゃんはにっこりとわらうと、タンポポのわたぼうしを2ほんとると、まほうをかけました。


「ちちんぷいぷい、え-い・・・」


すると、どうでしょう。


2ほんのしろいわたぼうしは、はいいろと、きんいろにかわってしまいました。


そして、おんなのこのみみに、こしょこしょと、ないしょばなしをしました。 


おんなのこはうなずくと、りょうほうのちいさなてで、タンポポのわたぼうしをもって、おしろに、はしっていきました。


「なんていったの、おばあちゃん?」


「それは、いまにわかるよ・・・。

じゃあ、また、おそらからみてよ-ね」


ふたりはそらのうえから、おしろのなかをのぞきました。


さっきのおんなのこが、おとのさまと、おくがたさまのところに、きていました。 


けらいをしたがえて、ケンカをしています。


「おまえがわるいのじゃ・・・あやまれぇ」

「あなたこそ、あやまったらどうですの?」 


もう、つかみかからんばかりに、めが、つりあがっています。


「ちちうえ、ははうえ、ケンカはやめてぇ・・・」 


「うるさい。ひめは、だまっていなさい。」 


ふたりはちっとも、おんなのこのはなしを、きいてくれません。


おんなのこは、はいいろのタンポポのわたぼうしをとりだし、「ふ-っ」といきを、ふきかけました。


すると、どうでしょう・・・。


おとのさまも、おくがたさまも、けらいもみんな、まっしろなかみになり、おじいさんやおばあさんになってしました。


きているものも、ボロボロのきたない、きものになってしまいました。


おんなのこは、なきそうになっていいました。 


「ちちうえ、ははうえ、なかよくしてくれるなら、

もとどおりにしますよ・・・」


おとのさまも、おくがたさまも、なきながら、あやまりました。


おんなのこは、もういっぽんの、きんいろのわたぼうしをとりだし、また、いきをふきかけました。


すると、しろじゅうのみんなが、もとどおりにわかがえり、やさしいかおになりました。


おしろのなかも、くにじゅうも、はながさいて、うつくしくなりました。


「ごめんよ・・・。

ひめのおかげで、めがさめたよ。

ちゃんと、なかなおりをするよ・・・」


おとのさまがいうと、おんなのこは、うれしそうにほほえみました。


「よかったね、おばあちゃん・・・」


「そうだね、はなこちゃんも、もしもケンカをしたら、

すぐに、なかなおりするんだよ・・・」 


「うん」

はなこちゃんは、げんきよく、うなずきました。


※※※※※※※※※※※※


「ママ・・ママ・・・」


まいちゃんのこえで、おかあさんは、めをさましました。


ふたりで、おひるねをしていたのです。


かすかに、ほほえみがのこっています。  


「ママ、おなかすいちゃった・・・」


おかあさんはジュ-スとクッキ-を、まいちゃんに、あげました。


おいしそうにたべている、まいちゃんをみて、おかあさんはおもいました。 


「ゆめだったのね・・・。

けさ、パパとケンカしたからかしら?。

なかなおりしなくちゃ・・・。

おばあちゃんが、みさせてくれたのね・・・」


「ママ、あそぼー・・・」


まいちゃんも、4さいのおんなのこです。


「そうね、こうえんに、いこうかぁ・・・」


ふたりはてをつないで、ちかくのこうえんに、でかけました。


はるのひざしが、ポカポカしてあたたかです。


おかあさんは、タンポポのわたぼうしを2ほんとると、まいちゃんをひざのうえにのせて、ベンチにすわりました。


「ねえ、なにするの?」


まいちゃんが、わくわくして、ききました。


「まほうのくにに、いくのよ。

いい・・・?

いっしょに、いきをふきかけるのよ・・・」


ふたりがどうじにいきをふくと、しろいたねが、あたりにひろがりました。


「わ-、きれい・・・」


まいちゃんは、あまりのきれいさにまるで、おそらをとんでいるきぶんになりました。


おかあさんは、かわいいまいちゃんをだきしめながら、ゆっくりはなしだしました。


「むかし、むかし、あるところに・・・」


おばあちゃんのおとぎばなし  ―完―

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「おばあちゃんの、おとぎばなし」 進藤 進 @0035toto

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