第7話 約束

次の日、午後一番であの人が来た。


「こんにちは。」

「はーい。」


紗耶は空のタッパーを持って受付に行く。


「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです。今度作り方教えて下さい!」

「良いですけど…」

「あ、名前教えて貰えますか?」

「海田将吾です。」

「私は本庄紗耶です。」




あれから何度か受付で話すうちに、2人は会う約束をした。


そしてあの『最低な出会い』から3ヶ月後、見事付き合うことになった。






何で3個も千枚漬けを買ったのか。


海田さんと付き合ってから聞いた話だけど、その日アパートに母親と妹夫婦が遊びに来ていて、お土産に持たせるのに買ったそう。

海田家はみんな漬物が好きで、特に千枚漬けに目がないらしい。


好きすぎてネットでレシピを調べて、自分流にアレンジして作ったものが、あの千枚漬けみたい。見事に胃袋を掴まれちゃった。


うちらの間で『縁起が良い大根の千枚漬け』って呼んでる。名付け親の私、かなり気に入ってる。


それを使ったスープも作ってみたの。千枚漬けを千切りにして、人参、ピーマンを入れる。これがまた美味しい。

『千枚漬けカラフルコンソメスープ』なんて名前付けたら、なぜか海田君に笑われちゃった。


千枚漬けのレシピを教わって作ってみたけど、やっぱり彼の手作りが一番美味しい。


いつか一緒に京都に行って、千枚漬けの食べ比べしようね。行列が出来ててもあなたとなら苦じゃないよ。

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